第14話 ひどい目にあった
「ひどいめにあった……」
「どうかんなのじゃ」
談話室で僕とロゼティータ姉様とヘル姉さんは休憩を取っていた。
辛い物が苦手なフェル姉は「ちょっと、やすむわ」と言って一足先に用意されている部屋に向かった。ヘル姉さんは割と辛い物は嫌いでは無いのか、まだ舌がヒリヒリしている僕達に比べると普通に温かい茶を飲んでいる。
頑丈な身体いやこの場合は舌をお持ちで。
そう思いながら、僕はソフィーが用意した冷たいミルクセーキで喉を潤した。
「……ところで、姉上」
「なんじゃ?」
「この都市で補給すると聞きましたが、どれくらい掛かりますか?」
「そうじゃな。此処からハノヴァンザ王国の王都までの距離を考えると、早くて数日じゃな」
ふむ。それなりに日数が掛かるか。その間、する事ないな。
「その間、リィンはする事がなかろう。少しの間であれば出掛けても良いぞ」
「良いの?」
「出かけないというのであれば、イザドラが煩いぞ?」
ああ~、確かに。
仕事が終わると、何かしろ理由を付けて僕に構う姿が目に浮かぶ。
それは確かに面倒だ。
「うん。何処に出掛けようかな」
ここ副都には都市内なら歩き回っているけど、都市外はあまり出ないから何処に何があるか知らないんだよな。
「護衛はお主のメイドと友達と後何人かと…………兵2千程連れて行けば良いじゃろう」
「何処とと戦争するの?」
「冗談じゃ。まぁ、一個大隊を連れて行けば良いじゃろう」
「多いから。もっと減らしてよ」
「何を言っとるんじゃ。これ以上減らすなど無理に決まっているじゃろう。王位継承権を破棄したとは言え、お主は皇籍に入っているんじゃから、王族なのは変わらんじゃろう」
「う~ん。確かに」
「それに、それだけの人数を連れて行かんと、イザドラが文句を付けて付いて行くとか言い出すかもしれんぞ」
ああ~、確かに。
しかし、あまり大人数を連れて行くのもな。
どうしたものかなと悩んでいると。
「ただいま~。ふぅ、祭りだからか美味しい料理を食べた~」
其処にミリア姉ちゃんが帰って来た。
満足げな顔を見ると、思わず睨んでしまうのは仕方がないよね。
「お主。良くあの状況で逃げる事が出来たのぅ」
「へへへ、何か嫌な予感がしたから逃げたんだ。まぁ、イザ姉のエプロン姿を見たらそうでしょう」
何か済まなそうな顔をしないで謝っているぞ。
ううむ。これは、何か罰を与えないと気が済まない。
僕がそう思っているのだから、姉上も同じ思いだろう。
「……おお、そうじゃ。リィン。何処かに行きたいのであれば、ミリアリアを連れて行くがよい。こやつを連れて行くとのであれば、一個大隊を連れて行かんでもいいぞ」
「おお、確かに」
「はへ?」
「実は……」
話に付いて行けないミリア姉ちゃんにヘル姉さんが事情を説明してくれた。
話を聞いたミリア姉ちゃんはそれで許してくれるのならと言って、僕に同行してこれる事になった。護衛の問題は片付いた。さて、何処に行こうかな。
……マイちゃん達にも声を掛けないとな。




