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第7話 そんな話を聞いたからか

 三時間後。


 姉上の抱擁と言う拘束から逃れる事が出来た僕は肉体的よりも精神的に疲れていた。

 精神年齢を含めても、良い歳なのだが姉上達の前では子供同然の扱いであった。

 流石にこのままと言うのはな。

「姉上達に婚約者を用意させるか? ……いや、駄目だ。あんなスペックが高い人達だから大抵の人は二の足踏むな。その上、あの性格に付いて行けるとしたら、それこそ聖人ぐらいの人じゃないと無理だな」

 そう考えると、候補がかなり絞られるな。

「ああ~、何処かにハイスペックの聖人はいないものかな~」

「此処に居るぞ!」

 後ろから大声でそう言うので、驚きながら振り返ると其処に居たのは村松さんであった。

「何時の間に……」

「えっ? だって、リウ君が前を歩いているの見たから、驚かそうと思って」

「何故驚かすのかな」

 そう言いながら、僕は思わず村松さんをジロジロと見る。

 どうも、先程の姉上の言葉が頭に残っている様だ。

『あの者達の間隙を縫うように動き自分の損をしない様に考え行動し、普段はおチャラけた雰囲気で誤魔化して居ますが、その内には中々に闇を持っているのを気に入りました』

 村松さんの闇か。どうにも、そんな事を感じさせない人だから分からないな。

 ぶっちゃけ、闇とかあるの?と聞きたい。

 まぁ、流石に失礼なので聞かないが。

「どうかしたの?」

「いや、別に」

 村松さんは変な顔をしているので、此処は話を変えないとな。

「そう言えば、村松さんはどうしてこの世界に戻って来たの?」

「う~ん。知りたい?」

 村松さんはニコニコしながら訊ねて来た。

「ああ、うん。凄く」

「う~ん。そうだね。面白そうだからっ」

 笑顔でそう言うが、色々な人を見てきたからか洞察眼を鍛える事が出来た。

 どうもその笑顔が作り笑顔の様に見える。

 何か隠している? 何を?

 う~ん。先程の姉上の言葉がどうにも頭に残っている所為か、言葉一つで凄く疑心を持ってしまう。

「面白そうね。それで、マイちゃんとユエと付き合って千年も共に行動を供にしたの?」

「色々とあって面白かったけどね。一番面白かったのがさ、マイっちが名前は忘れたけど、何処かの国の王子に求婚された事があったんだ」

「へぇ~。そうなんだ」

「その国には偶々、補給で訪れたんだけど。その時に視察に訪れた王子がマイッちに一目ぼれしたんだ。そしたら直ぐに跪いて求婚しだしたんだ」

「どうなったの?」

「マイッちはその王子の求婚をバッサリを断ったんだ。もう、それが清々しいくらいに。返事をするのに五秒も掛かってないんじゃあないのかな?」

「即答過ぎる。それでどうなったの?」

「そうしたら、その王子が自尊心が傷ついたのか、国の兵を動かしてマイッちとわたしとチャンチャンを捕まえようとしたんだ。それで、わたし達は国の兵を相手に戦って、戦って、戦っていたら、何かその国が亡んじゃった」

「何で⁈」

 国の兵相手に戦って戦って戦ったら、国が滅んだとかどんな戦い方をしたんだよ。

「わたし達も偶にあの戦いはどうしてああなったんだろうと話に出るけど、不思議に思うんだよね」

 不思議だと言いたげな顔をする村松さん。

 そんな不思議そうな顔をされても困るのだけどな。

 その後も少しばかり村松さんと雑談に興じたが、姉上が言う闇というのが、全く分からなかった。

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― 新着の感想 ―
[一言] (๑╹ω╹๑ )・・・多分、死ぬよりは王様をヤった方がいいんじゃね?って下の人たちが気が付いたんでしょうね。
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