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閑話 地獄の猛特訓 後

 引き続き龍月視点です

 どれくらい時間が経ったのか分からないが、少なくとも膝をつく程に濃厚な時間を過ごしたと思う。

「まじかよ……」

「僕達四人を相手にして……傷一つ付けられないのか」

「全力で挑んだのに…………」

 わたし達は膝をつきながら目の前に人を見る。

「……むぅ、こんなものか」

 わたし達の相手をしてくれたヘルミーネさんは大剣を肩に担ぎながら不満そうな声を出していた。

 顔つきは何と言うか『この程度で終わりか? つまらん』と言いたげな顔であった。

「タイムは?」

「五分十秒」

「嘆かわしい。せめて、十五分は持って欲しかったのですが」

「まぁ、最初はこんな物じゃろう」

 観戦しているイザドラさん達はわたし達の戦闘時間を計っていた様だ。

 その掛かった時間を見て駄目だと言わんばかりに首を振る。

「この程度で王国に出て魔物との戦いになれば、生き残れるかな?」

「雑魚でも苦戦しそうね。このままじゃあ、ウ~ちゃんが苦労しそうね」

「それはいけませんね。ただでさえリウイの面倒を掛けているというのに、余計に面倒ごとを煩わせるなど」

「じゃのう。これは徹底的な訓練が必要じゃな」

 イザドラさん達は頷くとわたし達に近付いて来た。

「お主らの実力は分かったので、これからは外に出ても生き残れる様に猛特訓を行う」

「この訓練を越えたら、生き残れると思うよ。多分」

「まぁ、そう簡単に死なないと思うわ」

「大丈夫。ちゃんと睡眠時間と食事時間は取りますので」

「……頑張れ」

 それから猛特訓と言う名の地獄が始まった。

 

 ロゼティータさん場合。

 魔法を雨の様に放ってきた。間断なく放たれる魔法にわたし達はお互いを守りながら防いだ。

「これを壊せば合格をやろう。『隕石(メテオ)衝撃落(インパクト)

 そう唱えると空間の天井から巨大な隕石がふって来た。

 全長八メートルはありそうな大きさであった。

 こんなの何処かの一撃必殺拳を持ったヒーローじゃなければ壊せるかと思いながら逃げて生き残った。


 フェルさんの場合。

「強い敵に出会った時は隠れて隙を伺い、奇襲する。気配を殺して身を隠すのも大事よ」

 そう言って空間内に森林や谷などを作り身を隠すには絶好な所を作り、わたし達は隠れんぼを行った。鬼役はフェルさんだった。ルールは時間内で一人でも見つからなければ、合格と聞いて、意外に簡単だと思ったが、直ぐに恐ろしい事に気付いた。

 開始から数分でわたし達は捕まった。そして、捕まった後の尋問も行われた。

 これに関しては口にも筆にも尽くせない事が行われたとしか言えなかった。

 その後も訓練は続いた。


 

 ヘルミーネさんの場合。

「戦闘力が高ければ生き残れる」

 そう言って四対一の組み手を延々としていた。

 骨が折れようが倒れようが、容赦なく攻撃を仕掛けて来た。

 睡眠時間も食事の時間も取らずに七十二時間ぶっ続けで行われる事もあった。

 死にかけた事も何度もあった。


 ミリアリアさんの場合。

「とりあえず、魔物が戦えば良いでしょう」

 そう言って何処からか魔物を捕まえて来て戦わせた。

 事前にどんな魔物のか情報が分からないので悪戦苦闘した。

 少し弱らせていると言っていたが、全く歯が立たなかった。何度も食われかけた。

 後で知ったが、ミリアリアさんが連れて来た魔物は魔物の中でも上位に位置する者達で、通常では百人規模の集団が数十日かけて討伐するという強力な魔物だそうだ。


 イザドラさんの場合。

 こちらの方が今までの特訓よりも恐ろしく激しかった。

「生き残るために必要なのは体力です。ですので、追いかけっこをしましょうか」

 そう言ってイザドラさんは龍の姿となってわたし達を追い駆けた。

 攻撃有りで時間内で捕まらなかったら合格というものだった。

 …………死んだと思った事が数えきれないくらい起こったけど、イザドラさんが魔法で復活させてくれた。そして、直ぐに追いかけっこが行われた。

 

 

「……以上が、わたしが経験した訓練内容です」

 リウイさんがどんな訓練をしたのか気になり訊ねて来たので、わたしはどんな事をしたのか話した。 

 話が終わるとリウイさんは凄く申し訳なさそうな顔をした。

「何かすいません。姉がとんでもない事をして」

「いえ、お蔭で大抵の事に怯える事は無くなりました」

 今なら、元の世界に帰っても暴力団の人達に絡まれても何とも思わないと断言出来た。

 それぐらい濃厚で激しい訓練であった。

 

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