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第1話 付いて来る人が増えた

新章突入です

「ところで、西園寺君」

「何だ? ……リウイ」

 少し考えたのは前世の僕の名前と今の僕の名前をどっちで呼ぶか考えて、今の名前で呼ぶ事にしたって感じだな。

「竜人君達を見つけたけど、まさかこのまま帰らないよね?」

「それこそまさかだ。そんな事をして帰れば世間からバッシングを受ける。此処は連れて来られた者達全員を連れて帰還するに決まっている」

「じゃあ、ハノヴァンザ王国に行くという事だけど、移動手段は」

「……友よ。手を貸してくれ」

 西園寺君が僕の肩を叩き笑顔を浮かべた。

 これはあれだな。王国まで連れて行ってくれと言っているんだな。

 流石に僕とマイちゃん達しか知らない人を船に乗せるのは駄目だろうな。

 姉さん達を見ると、首を横に振った。

「……もし、連れて行ってくれないのなら、俺に考えがある」

「どんな考えかな?」

 まさか、前世の僕の家族の事を話すとか? 

 もう転生しているので縁も縁も無いと言って良いだろうに。

「お前の好きだった有名な声優が電撃結婚した」

「えっ 誰と?」

「他には運命の夜の巨乳後輩ルートが映画化された」

「うそっ、あの話、映画化されたんだっ」

「後は首相が変わった」

「知りたいか知りたくないか微妙だけど、誰になったのか気になるっ」

「どうだ? お前が知りたくても知らない情報を話のタネされるというのは? 連れて行ってくれるのなら教えてやる」

 ぐぬぬ、恐るべし西園寺君。

 こちらが知りたくても調べる事が出来ない情報で交渉して来るとは。

「ロゼ姉。セイユ―?って何?」

「妾が知る分けなかろう」

「発音と響きからして、英雄の親戚でしょうか?」

「エイガカ? 誰の栄華の話なのかしら?」

 ああ、姉さん達は話の内容が分からないのか困惑しながら話し合っていた。

 こっちに映画館とかアニメとか無いから分からないだろうな。

「で、どうだ。この情報を対価に俺達を乗せるというのは?」

「…………まぁ、前世の友達だし、それぐらいなら」

「交渉成立だな。暫しの間よろしく頼むぞ」

 そう言って西園寺君は手を差し出したので、僕も手を出して握手した。

「何の会話をしているのかサッパリだが。とりあえず、連れて行くという事で良いのだな」

「そうなる様で」

 アウラ王女がユエに話し掛けて確認していた。

「そう言えば、アウラ王女はどうするのですか?」

「ふむ。今回はお前達が居たから手伝ったが、何かをする気も無いからな。朽ちた城塞後にでも戻るとしよう」

 アウラ王女はあのボロボロな所に戻るのか。流石に可哀想だ。

「行く当て無いのでしたら、僕達に付いてきませんか?」

 あっ、思わず口に出してしまった。

 僕の言葉に皆、一斉に僕を見る。

「ふむ。お前は妹だけではなくわたしも誑すつもりか?」

「いえ、そんなつもりは」

 言葉を続けようとしたら、肩を思いっきり掴まれた。

 恐る恐る振り返ると、其処にはイザドラ姉上が無表情で僕を見た。

「リウイ。貴方は天性の女たらしなのは姉として悲しいですが受け入れましょう。ですが、どうして前世の義理の姉まで口説くのです。姉ならば、この自他ともに認める美貌を持ち文武両道にして知勇兼備で弟を愛しているこのわたしだけで十分でしょうにっ」

 うわっ、自分で言ったよ。この人。

「時々、思うのだが。あやつは妾達もリィンの姉である事を覚えているのじゃろうな?」

「う~ん。イザ姉だし。頭から抜けているんじゃない?」

「有り得るわね~」

 ロゼ姉様達が何か話しているけど、その前にこの人を止めてくれませんかっ。

「此処は姉としての魅力をキチンと教えないといけませんね。いきますよ」

 そう言ってイザドラ姉上は僕を脇に抱えた。

「何処行くの⁈」

「船でリウイがわたしという姉が如何に偉大かじっっっっっっくりと教えようと思いまして」

「嫌だ~!」

 そんな話なんか聞いていられるかっ。

 しかし、どれだけ暴れても姉上の拘束は解かれなかった。

「ほほほほ、早く行きますよ」

「嫌だから」

「「「ちょっと待った!」」」

 僕を連れて行く姉上にマイちゃん達が呼び止めた。

「幾らリっ君のお姉さんでもそれは強引すぎるとお思うな。というか、放しなさいよ」

「義姉上。リウイが嫌がっているのです。嫌がる事をすれば嫌われますよ?」

「我が主に無礼を働くのであれば、例え主の姉君であろうと一戦交える所存」

 マイちゃんとユエとリリムが臨戦態勢を取る。

「う~ん。義理のお姉さんになるのだから、此処は何もしないで見送ったほうが良い気が。でも、リウイ君を助けた方がリウイ君の気持ちがわたしに傾く気がする……」

 椎名さんは何か頭を抱えている。

「ふふふ、丁度良い。ここいらで邪魔な虫を潰すしますか」

 そう言ってイザドラ姉上も戦闘態勢を取った。

「お前達程度であれば、片腕で十分。掛かって来なさい」

 手招きする姉上。

「「「上等‼」」」

 マイちゃん達は姉上に向かっていった。

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