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第116話 そろそろ帰る時期か

 第六章は終わりです。

 少し時間を置いてから第七章に入ります。

「成程。つまり、この者達はリウイの前世の友人という事ですね」

 龍の姿を解いたイザドラ姉上が僕の頭の上に胸を乗せて抱き締めながらそう言う。

 くっ、何か頭の上に柔らかい物が乗っている。

 普段から抱き締められているのも恥ずかしいけど違うけど、これはこれで何か恥ずかしい。

「ふむ。聞きしに勝るという奴だな」

「羨ましい様な大変そうだなと思ってしまうな」

「頑張れ」

 嘗ての級友達から有り難い様な嬉しくない様な言葉を掛けられた。

 まぁ、今はそれよりもだ。

「姉上。どうして此処に居るのですか? 船に居るのでは?」

「ああ、そうでした。実は王国に居る愚兄から報告が来ました『包囲している国王がようやく降伏した。リリアン王女に戴冠の儀を行うから早く戻って来い』との事です」

 ああ、降伏したんだ。てっきり全滅するまで戦うかと思ったが違ったか。

 流石に命が欲しいようだ。

 しかし、姉上もソア兄上を『愚兄』って酷い言い方だ。

 姉上の対処で胃を痛めているけど、優秀な人なのに。

「それを報告する為に来たの?」

「そうですよ。早く知らせないと思いまして」

「左様で」

 疲れた表情の僕に姉上は気にせず抱き締めて来る。

 まぁ、姉上の相手はこのぐらいにして、先程から気になっている事を訊ねる。

「ところでさ、ロゼ姉様。イザドラ姉上。フェル姉。ミリア姉ちゃん」

「「「「なに(なのじゃ)?」」」」

 僕は姉達に訊ねながら竜人君達を見た。

 四人は頭を抱えて何かに怯えていた。

「あの四人に何をしたの?」

 あの怯え方尋常じゃないぞ。何をしたらああなるんだ?

 そう思い訊ねたが、四人は頻りに首を傾げながら互いを見た。

「妾は指導しただけじゃが、お主ら、何かしたのか?」

「い~え。普通に訓練をしただけですよ。フェルこそ何かしたのでは?」

「わたしも普通に教えただけよ。ミリアは如何?」

「え~、わたしも普通に鍛えただけだよ?」

 ……この四人の普通か。

 致命傷を負わせて治療して致命傷を負わせて治療するという訓練でもしたのか?

 この四人なら有り得るな。

 ヘル姉さんは…………あの人加減は出来ないから死にかけたのかもしれないな。

「まぁいいや。西園寺君」

「おお、どうした……リウイ?」

 前世の知人ではあるが今は魔人族の王子に文字通り生まれ変わった者にどう言えば良いのか分からず首を傾げる西園寺君。

「リウイで良いから。西園寺君はどうするの?」

「ふむ。そうだな。息子の同級生達がその王国に居るのだろう?」

「そうだね」

「ならば、その者達と一緒に俺達が居る世界に帰ったほうが良いだろう。じゃないと、世間からどんな批判を受けるか分からないからな」

「じゃあ、一緒という事で良いんだね」

「そうなるな。そのハノヴァンザ王国まで頼む。その後は帰るとしよう」

 前世の知人が居なくなるのは寂しいが仕方がない。向こうの世界で生活もあるのだから。

 僕の場合はもう帰る事が出来ないからな。

「では、船に帰りますよ」

 姉上がそう言ってこの部屋から出て行こうとしたが、僕は足を止めた。

「どうしたました。リウイ」

「ちょっと待ってね」

 僕は少しだけ残っている天城君の遺灰を零れない様に慎重に掴んで袋に入れる。

「それは天城の遺灰だろう。どうするんだ?」

「まぁ、あれだよ。其処に居る姪っ子さんに持たせようかと」

「・・・・・・お前という奴はとことん人が良いな」

 西園寺君は生まれ変わった僕の行動を見て笑っていた。

「言えてるな」

「変わらないな」

 何故か斎藤君と遠山君まで同意した。何故?

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― 新着の感想 ―
[良い点] キャラが際立っているため、とても面白く、読みやすいです。 主人公の性格がより一層楽しく読める一因でもあります。 また、キャラが多いのに、一人一人違いあり、個性があるため、誰が話してるかすぐ…
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