第110話 何をするつもり?
骸骨騎士アマギと椎名さん達との戦いは始まった瞬間。
「「「死ね」」」
「滅びなさい」
「これを喰らって生きられるかな?」
五人の声が同時に聞こえたと思った瞬間。
目にも止まらぬ攻撃が放たれた。
魔法なのか、戦技なのかは分からないがとにかく早く放たれた。そして骸骨騎士アマギを光に包まれた。
その光の強さに僕は目を手で守った。
やがて、その光が止んだ。其処には骸骨騎士アマギの髑髏だけ残っていた。
残りは綺麗に消滅していた。
「おお、あたしとフェル姉とマイカたちの合体攻撃を喰らっても、頭だけ残ったんだ。凄いね~、てっきり全部消滅すると思ったのに」
ミリア姉ちゃんは感心しながら手を叩いていた。
「意外にしぶといわね。逆恨みして死人になっただけはあるようね」
フェル姉は足で髑髏を踏みつけながらグリグリと踵を押し付ける。
こうしているフェル姉を見ると改めて怖いと思った。
「ふん。しぶといな。その生命力は黒い害虫といい勝負かも知れんな。黒いし」
ユエは蔑んだ目で髑髏だけになった骸骨騎士アマギを見ていた。
「いや、違うよ。ユエ。黒いGは殺したら蘇らないけど。こいつは殺したら蘇ったからGよりも厄介で面倒だよ。本当に死んでも面倒な奴ね。こいつは」
マイちゃん。クラスメートではあったんだから、せめて名前ぐらいは呼んであげようよ。
それぐらいの情けはあっても良いと思うんだ。うん。
「転生できない様に魂ごと消滅させましょう。塵一つどころか魂の一欠けらも残さないで」
椎名さん。転生するぐらいは許してあげようよ。
記憶を持ったまま転生するのか、それとも真新しい魂として蘇るのか分からないけど。
「そうね。塵一つ残さず消滅させるとしましょうか」
フェル姉が同意して、掌に黒い炎を生み出した。
「この炎は魂すら焼き尽くす業火。灰になってから生まれ変わらせてあげるわ」
フェル姉がその黒い炎を放とうとした瞬間。
「ま、待ってくださいっ」
其処に竜人君が声を掛けて来た。
フェル姉は肩越しに振り返った。
「どうかしたの?」
「その人は本当に龍月の伯父さんなんですか?」
「多分ね。このシイナの知り合いのようだから」
「どうしてですか? 死人とは強い恨みを残して死んだ人が魔物になった存在と本に書いてあった。天城さんはそんな恨みが残る死に方をしたんですか⁉」
竜人君が気になり訊ねて来たが、マイちゃん達は言うべきか言わざるべきか迷っていた。
ここまで連れて来たのは真実を知りたいという思いを聞いたから連れて来ただけだ。
これはどうするべきか。
『では、本人に訊ねるというのはどうじゃ?』
アンゼリカが突然、そんな事を言い出した。




