第106話 では、そろそろ行きますか
アイゼンブリート族の勢いに押されて陣地から出て行った神聖王国軍。
最早『廃都』に行くのは問題無いと思われた。
「姉上」
「ええ、リウイ、分かっていますよ。着陸準備。それが終わったら『廃都』を包囲する様に軍を展開しなさい」
イザドラ姉上がテキパキに指示を出していった。
普段は凄い有能なのに、どうして僕が絡むと物凄く残念になるのだろう。
「どうかしたの? リウイ」
側にいるヘルミーネ姉さんが考えている訊ねて来たが、流石に言っても意味がない。
「何でもないよ」
「ならいいけど、それよりも行きたい人達に声を掛けた方が良いと思う」
ああ、確かに。
そう言われて、僕は竜人君達が居る所へ向かった。
竜人君達を見つけると、僕達はハッチに着いた。
「ようやく入る事が出来るな」
「そうだな」
竜人君と黒川君が話している。
「此処に何かあると良いな」
「そうだな。天城のおじさんの死がどんなのか分かれば良いが」
僕は知っているけどね。
まぁ、言っても信じないだろうな。なので、自分の目で見て判断してもらおう。
其処は良いんだ。問題は。
「どうして、みんな共に付いて来るのかな?」
リッシュモンドとアウラ王女しか呼んでいないのに、リリムとマイちゃんとユエと椎名さんだけではなく、何故かフェル姉とミリア姉ちゃんまで居る。
竜人君達に聞こえない様に音量を気にしつつ話す。
「どうして、マイちゃん達まで来るのさ」
「「暇だから」」
マイちゃんとユエが口を揃えて言う。
呆れて言葉が出ない。そんな理由で付いてこないでほしいんだけど。
「主を守るのは臣下の役目。故にお供します」
「わたしは好きな人についていくだけよ」
リリムと椎名さんは睨み合いながら訊ねてもいないのに理由を言い出した。
……まぁ、色々と問題はあるが許容範囲だ。問題は。
「どうして、フェル姉達も付いて来るのさ」
僕がそう訊ねると、フェル姉達は視線をずらした。
何か見つけたのかと思い、僕もその視線を追うと、其処にはイザドラ姉上が笑顔でいた。
「「弟が心配な姉の命令で付いて行くだけよ」」
「すいませんでした!」
思わず謝った。
くっ。姉上めぇ~。余計な事をっ。
『人数が多いのう。これはまた愉快な散歩になりそうじゃな』
腰に差しているアンゼリカが楽しそうな声で話しかけて来た。
「散歩。これを散歩と称するのは違和感を感じるんだけど」
『まぁ、これだけのメンバーであれば道中、何の問題も無いであろう』
其処は確かにそう言えるな。
『そう考えて連れて行けばよいであろう』
「……そう簡単に割り切れたらね」
寧ろ、こんなに人要らないよと思うけどね。