第101話 別に隠す事ないか
アウラ王女と話す前に、僕達は少し話あった。
結果。話す事に決めた。
「何と、まさかお前が転生するとはな……」
僕の話を聞いたアウラ王女は大きな溜め息を吐いた。
「いやぁ、僕もそうなるとは思いもしませんでしたよ」
「だが、お前からしたら、わたしやマイカ達が生きていた方が驚いただろうな」
うん。全く持ってその通りだ。
誰も知り合いがいない世界で生きて行くと思っていた所に、ユエに出会った時は腰を抜かしそうであった。
「ええ、そうですね」
「……しかし、こうしてお前に会えるとはな。案外妹も何かに転生しているかも知れないな」
そう言って笑えない冗談だなと言いたげに笑うアウラ王女。
……自称その妹が転生した存在だと言う人が身近にいるな。正直に言って、あながち嘘と言えないのが悲しいかな。
あれで粘着質な所があったからなセリーヌ王女。
「で、お前達が来たのは。王国が滅んだから、どうなっているのか確認に来たのか?」
「ちょっと違いますね」
別に隠す事ではないが話さなくても良いだろう。
「そうか。……此処で会ったのも何かの縁だ。わたくしも手を貸してやろうか?」
アウラ王女がそう言うので、僕達は顔を見合わせた。
「ちょっとお待ちを」
僕達はそう言って離れた。
「どうする?」
「手を貸してくれたら、凄く助かるけど」
「隠棲している人に手を借りるのは、ちょっと」
しかし、断るにしても戦力的に惜しいと言えた。
それが分かっているので、僕達はああだこうだと話し合う。
そうしていると、足音が聞こえて来た。
誰だろう?と思いながら、警戒する僕達。
「話し声は此処から聞こえて来たけど……」
「大丈夫だろうか。あの三人」
「見た目に反して強いから大丈夫でしょう」
「そうね」
この声、竜人君達か?
僕達が戻って来るのがあまりに遅いので探しに来たという感じか。
「焦れて探しに来たか」
「ちょっと時間をかけ過ぎたわね」
そうかもね。
「何だ? まだ、連れが居たのか?」
「ええ、そんな感じです」
一名見たら驚くだろうなと思いながら、近付く足音に耳を傾ける。
「あっ、あそこっ」
「リウイさん達だっ」
「良かった。無事だったか」
竜人君達は安堵しつつ、僕達の方へと向かってきた。
「って、あれは誰だ?」
信之君がアウラ王女を見るなり、疑問の声を上げた。
「むっ、……お前は、サイオンジ?」
アウラ王女は竜人君を見るなり西園寺君の面影を見て思わずつぶやいた。
「あの? 僕は貴女に会った事はないのですが? それなのに、どうして僕の苗字を知っているのですか?」
竜人君は訳が分からないという顔をして訊ねて来た。
これは話したほうが良いな。