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第95話 ああ、忘れてた

 一時間後。『廃都』を覆っていた闇魔法『闇の蝕祭』が消えた。

 その魔法が無くなって改めて『廃都』に使い魔を送り映像をを見ると、そこかしこに『神聖王国』の軍装を纏っている者達の死体があった。

 逃げる事も降伏する事も出来ない中で死んだからか、皆恐怖を宿した顔で事切れていた。

「……これはどうしたものか」

「あんな魔法を使う物が居るって事は死人系でも上位に入る者が居るって事でしょうね」

「太陽の影響を阻害する魔法か。これは墓参りに行くのも大変だな」

「……あの魔法を見てそんな呑気な事を良く言えるわね~」

 何故かフェル姉が呆れていた。

「で、これを見てどう対処するの? ウ~ちゃん」

 フェル姉は僕の頬を突っつきながら訊ねて来た。

「……う~ん。そうだな」

 上位魔法だからな、一度使用したらそう何度も発動出来ないだろう。

 其処を鑑みて『廃都』に入れば、何の問題も無いと思ったが。

「ふっ。あのような魔法で太陽を阻害しようとも、わたしに掛かれば何の問題はありません」

 そう言うのはリッシュモンドであった。

「ああ、そうだよな」

 普段から死人みたいな事をしないから忘れるけど、リッシュモンドは『生命無き王』であった。

 リッシュモンドがいれば死人や死霊がどれだけ居ても『生命無き王』の前では無力と言えた。

「うん。リッシュモンドが居れば問題ないか」

「はっ。お任せください。と言いたい所ですが、リウイ様。先程の魔法をご覧になりどう思いました?」

「どうって、それは上位の死人が居るって事だろう?」

「左様です。先程の魔法を見た所、恐らくですがその者はわたしと互角の実力を持っていると予想致します」

「それは、困ったな」

 普段から事務仕事をやらせているが、戦闘力では今回連れて来たメンバーの中でも上位に位置する実力者。

 そのリッシュモンドがそう言うので、これは苦戦が免れないと予想できた。

 そうなった場合、自分の身は自分で守らないといけない。

 正直に言って転生してから、自分の戦闘力というのが未だに分からない。

 何せ、そういう荒事は殆どの人任せであった。

『ふふふ、何かお困りのようだな。我が主よ』

 何処から声が聞こえて来た。

 誰だと思っていると、リッシュモンドが腰に差している剣を僕に見せた。

「それって、アンゼリカ?」

「はい。リウイ様が攫われた時に、宿に置きっぱなしになっていたのでわたしが回収しておりました。この旅に出る準備をしている時まで、その存在をすっかり忘れていましたが」

『お主、攫われていたからと言って妾の存在を忘れるとは、何事だ⁈』

「ごめんなさい」

 すっかり忘れていた僕が悪いので素直に謝った。

『ふん。まぁ、事情が事情なので、これは許してやっても良いが、その代わりに妾の手入れに最高級の油と打粉を使ってもらうぞ』

「はい。分かりました」

「良し。これでこの話しは終わりじゃ。我が主の守るのは妾に任せよ。例え古龍であろうと守ってくれようぞ」

「本当に?」

『うむ。任せよっ』

 この剣?が大風呂敷を広げるので、僕はアンゼリカを持って椎名さんを見る。

「じゃあ、あの人をどうにか出来るの?」

『む? むむむ………………ハハハハハハハ、ダイジョウブジャ』

 ああ、これは無理だなと直ぐに分かった。

「じゃあ、今度任せてみるか」

『え、いや、その、話は出来るようだから、最初は対話で解決すると良いと思うが?』

 思わずアンゼリカをジト目で見てしまった。

「本当にどうにか出来るの?」

『………………』

 急に黙り込んだ。これは駄目だ。

 はぁ、何とか椎名さんを大人しくさせる方法はないものか。

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