第88話 これは興味深い
先程、口からビームを出した蜥蜴の様な物は膝を折っていた。
何事だと思いながら、僕達は警戒しつつ近付く。
「uuuuuuu」
蜥蜴の様な物は威嚇音を出すが、それ以上何もしなかった。
少しずつ近付き包囲する僕達。
それでも動かないので、僕はもっと近づいた。
そして、軽く触れてみた。
触った感じ、金属みたいにツルツルしているが温かみを感じた。
動いているエンジンみたいに熱くない。だけど、人肌よりも温かった。
そのまま触れていると、蜥蜴の様な物は嫌なのか身体を揺する。
「……しかし、どうして膝を折っているんだ?」
嫌がっている様なので距離を取った。
先程は攻撃をしてきたが、今は攻撃どころか身体を動かすのもキツイぐらいに弱っていた。
それが不思議で仕方が無かった。
そう思っていると、プリアが近づいた。
「…………」
プリアは恐れる様子は無く、蜥蜴の口の部分に額を付けた。
プリアがそんな事をしても蜥蜴は何もしなかった。
そのまま数分が経つと、プリアが蜥蜴から離れた。
「何か分かった?」
「…………」
プリアが何かしたのか気になり訊ねたが、プリアは身振り手振りで何か伝えようしているが、喋れないので全く分からない。
どうしようと思っていると。
「ふむふむ。成程」
「へぇ~、意外」
僕は分からなかったが、アリアンとマイちゃんは分かった様だ。
これは一種のテレパシーか? それとも僕には聞こえない音域で話しているのだろうか?
気になるが、今が気にする所ではない。
「二人共。プリアが何って言っているの?」
「ああ、あの子はねこう言っているのよ」
マイちゃんが僕に教えてくれた。
あの蜥蜴の名前はMRー001と言う名前らしい。
このMRとはメタルレックスというそうだ。
で、このMRー001がどうして膝を折っているのかと言うと、腹が空いたからだそうだ。
どうもここら辺のアイゼンブルート族は魔石で半永久的に活動するのではなく、ユンケルというある燃料を摂取する事で活動する事が出来るそうだ。
それでMRー001はそのユンケルを摂取しようとしたら、僕達を見つけて僕が叫んだので驚いて攻撃したが、それで殆どのエネルギーを使い切ってしまい膝を折っているそうだ。
「成程。で、そのユンケルってなに?」
何となくわかっていたが、僕はプリアに訊ねた。
プリアは指を差した。
その指差した先は先程、騎馬を生やした猫の様な物が啜っていた黒くドロドロした液体が湧いている所であった。
多分、そうだろうなと思ったので納得した。
「お腹が空いているという事か。リリム」
「はい。リウイ様。承知しました」
まだ何も言ってないのにリリムは返事をして、ユンケルという液体が湧いている所に向かった。
よくユンケルを取って来て分かったな。




