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第83話 公国の領空侵犯するけど。まぁ、良いでしょう

 副都を出た僕達は途中魔物や嵐になどに逢う事なく航路は順調に進んで行った。

「このまま進めば公都の近くを通るけど。大丈夫?」

 ラウンジで休んでいた僕にマイちゃんが訊ねて来た。

「別に上を通るくらいなら。……って、今思ったんだけどさ」

「なに?」

「これって領空侵犯じゃないの?」

 今更ながらそう思った。

「ははは、何を今さらそんな事を言ってるの?」

 マイちゃんは僕が言った事がそんなに面白かったのか、腹を抱えていた。

 目に浮かんだ涙を指で拭いながらマイちゃんは口を開いた。

「わたしが副都に来る前に現公王陛下に掛け合っておいたから大丈夫よ」

「そうなんだ。良かった」

 近づいたら領空侵犯とか何とか言って攻撃してくるかもと思ったが大丈夫のようだ。

「それと、あの生意気な女にも声を掛けておいたから大丈夫よ」

「生意気な女?」

 誰の事を言っているんだ?

「もう、忘れたの。エリゼヴィアの事よ」

「…………ああっ」

 言われるまで忘れていた。

 そう言えば、エリザさんは何か禁忌の魔法を使って人に戻る事が出来なくなったから、公都近くの何とか山に暮らしているとか何とか言っていたな。

「元気だった?」

「五月蠅い位にね。だから、撃ち落とされる心配はないわ」

「そっか。なら、良いか」

 ふむ。この件が片付いたら会いに行ってみるか。

「…………」

 そう考えているとマイちゃんが無言で僕を見て来た。

 瞬き一つもしないで見て来るから怖いんだけど。

「今、エリゼヴィアに会いに行こうと思ったでしょう?」

「ぶっ⁉」

 あれ? 口に出てたかな?

 おかしいな。心の中で思っているだけだったのに。

「もう、リッ君は気が多いんだから。幸せの青い鳥は身近に居るんだよっ」

 マイちゃんは腰に手を当ててプンスカと怒っていた。

 青い鳥ね。そんな事を言っていると、面倒な人を呼び寄せると思うな。

「ああ、此処に居ましたか。リウイ」

 ああ、やっぱり。

 振り向かないでも声で誰なのか直ぐに分かった。

 そのまま振り向かないでいると、後頭部に柔らかい物が当たる。

「今日はまだハグをしていないので、今しましょうね。ギュー」

「……姉上」

「何です?」

 予想通り僕を抱き締めているのはイザドラ姉上であった。

 いい加減止めて欲しいのだけど。

「そろそろ、こうして抱き締めるのは止めて欲しいのですけど」

「何を言うのです。これは姉弟のスキンシップですよ。仲が良い姉弟なら普通にする事ですよ」

「恥ずかしいんだけど」

「別に人様の目を気にする事ではないでしょう」

「でも」

「もう、わがままですね。そんな事を言うのはこの口ですか」

 姉上は楽しそうに僕の頬を突っついて来た。

 ・・・何か、普段よりも圧が強い気がするのだけど。何で?

「これが。話には聞いていたけど、此処まで強烈に来るとは……」

 何かマイちゃんは僕達を見て、難しい顔をしている。何故?

 姉上の甘やかし攻撃を受けながら僕は首をひねった。

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