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閑話 ???の怨嗟

 今回は第三視点です。

 あまり、本編には関わらないのと人によっては気分が悪くなる表現がありますので、飛ばしても構いません。

 此処はある国の王都。

 其処では今、石打ちの刑が行われていた。

「卑怯者っ」

「役立たず!」

「何で、お前が生きているんだよ‼」

「お前が死んだ方が良かったんだっ」

 罵倒する声と石が投げつけられていた。

 多くの人達が輪になっており、その中心部分に居る人物に向かって「死ね。死ね」と叫んでいた。

 輪の中心にいる者は囚人服を着ていた。

 その服から囚人の様であったが、その者の目には光は無かった。

 舌は切られてはいないのだが、何故かその者は喋る事は出来なかった。

「―――――――――」

 その者は何か言っているが声にならず、ただ口を動かすだけであった。

 周りの人達は気にせず石を投げた。

(俺は、俺は間違った事はしていないっ。あれは、必要だったからしたんだっ。なのに、どうして、俺はこんな目にっ)

 石を投げられて身体の何処かに当たり痛いと感じながらその者は心の中で思った。

 自分の思いを口にしようとも魔法により声は出なかった。

 それでも、その者は口を動かした。しかし、声は出ないのは変わらなかった。

 男はやがて意識が遠のき、そのまま倒れて永遠の眠りについた。


 男が永遠の眠りについてから、かなりの年月が経った。

 男の遺体は処刑された所に墓が建てられた。

 墓碑には『此処に王家に偽りを述べた裏切り者が眠る』と刻まれていた。

 墓石はきちんと管理されていないのかボロボロで動物の糞尿が掛けられていた。

 だが、その墓碑の前を誰かが通っても何もしようとしなかった。

 中には墓石を壊したり汚す者までいた。

 その墓の中には男の遺体が埋まっていた。

 土の中にある遺体はそのまま土に還るであろうと思われたが。

(ゆるさない、ゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさない‼‼)

 既に遺体になっているにも関わらず、遺体からは負のオーラが出ていた。

 その気が少しづつ遺体にまとわりつく。

 遺体がその気に完全に包まれた。

 すると、墓の周りの地面が揺れ出した。

 周りの人達は地面が揺れているので何事だろうと思い足を止めて見た。

 やがて、揺れは止まった。

 何が起こったのだろうと首を傾げていると、地面から黒い骨の手が出て来た。

「ひいっ」

「な、何だ?」

 地面から骨の手が出て来たので驚く人達。

 その手が出ている所から頭蓋骨が出て来た

 眼孔には瞳はないが、変わりばかりに金色に輝く物があった。

 それが目の様に動き回った。

「す、すけるとんっ」

「誰か兵士を呼んで来いっ」

 人達が墓から出て来た骸骨を見て恐怖しながら逃げ惑った。

 墓から出て来た骸骨は近くに人を見るなり飛び掛かった。

 そして、首に齧りついた。

「ぎゃああああぁぁぁぁぁぁぁ…………」

 噛みつかれた人は悲鳴を上げたが、その悲鳴は徐々に小さくなっていった。

 それに比例して噛みつかれた人の身体もミイラの様に水分が無くなりカサカサとなり骨と皮になっていった。目も蒸発したかのように無くなった。

 噛みついた骸骨は血を啜っていた。頬がないので血を受け止める事は出来ず、下顎の部分と口まわりを赤く染めていた。

 それでも構わず骸骨は血を啜った。たがて、噛みつかれた人は灰となった。

 骸骨は顔を血で濡らしながら、新しい獲物を探しに徘徊した。


 墓から骸骨が出て人々を襲っているという話を人伝からその話を聞いたその国の王は直ぐに軍を集めて討伐しようと命じた。

 だが、その命令が実行される前に骸骨は王宮に突入していた。

 襲い掛かる兵達を相手に骸骨は誰かから奪った剣と盾で応戦した

 骸骨が謁見の間に着く頃には、骸骨は全身を赤く染まり、最初に持っていたのは剣であったが、今はグレイブに代わっていた。

 骸骨が謁見の間の扉を開けて中に入った。

「ひいいい、来るな来るな来るな・・・・・・・」

 その部屋の中にある玉座には王冠を被った男が怯えた声を上げていた。

 逃げ出そうとしないのは恐怖で腰が抜けた様だ。

 その王冠を被った者を守る様に兵達が武器を構える。

「…………」

 骸骨は何も映さない目の様な物が玉座を見る。

「……チガウ」

 声帯が無いのに、何故か声を発した。

 その声を聞いてその場に居る者達が驚いた。

「お前、話せるのか? おい」

「はっ」

「お前、あの骸骨に話しかけてどうしてこのような無法な事を行ったか聞けっ」

「はっ? 流石にそれは」

 無理ではと言葉を続けようとしたら、その者にグレイブが当たる。

 当たった所から血が噴水の様に噴き出した。

「ひいいいい、殺せ。その骸骨を殺せっ」

 玉座に座る者がそう命じると兵達は骸骨に襲い掛かった。

「チガウチガウ、チガウチガウチガウチガウチガウチガウチガウチガウチガウチガウチガウチガウチガウチガウチガウチガウ」

 骸骨はそう叫びながら兵達に襲い掛かった。 武器も無いので素手で兵達を戦うのかと思われたが。

「『(ダーク)()魔力剣(ブレイド)』」

 骸骨の何も持っていない手から黒い剣が生まれた。

「なっ、魔法⁉」

「魔力で形作られた剣⁈ そんな物を作れるのはっ」

 兵達が驚いている間に骸骨は剣を振るう。兵達は瞬く間に倒された。

「な、な、な、お前は、いったい…………」

 その声に応える事はしないで骸骨は玉座に座っている者に魔力剣を振るい首を切り落とした。

 切り落とされた胴体からは血が噴き出され、その血は骸骨に掛かった。

「ガアアアアアアアアアア‼」

 骸骨はその血を浴びながら叫んだ。

 その後、骸骨は王都を徘徊した。その所為で王都は人が住めない所となった。

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