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第80話 大丈夫だろう。多分

 話が聞こえない様にアリアンの部屋から少し離れて、僕達は話し合った。

「このまま連れて行っても良いのかな?」

「いやいや、お前。連れて行かなかったら余計に酷くなるぞ」

「終いにはあれじゃない。ユキナッチみたいになるかもしれないよ」

「あそこまでいくと最悪を通り越して狂悪と言えるな。という訳で。リウイ」

「なに?」

「連れて行けよ。良いな」

「分かったよ」

 まぁ、連れて行く事はやぶさかではないんだけど、今のユエの言葉に妙に気になるな。

「ユエ。元の世界に居た時、椎名さんは僕に対して何かしたの?」

「…………」

 そう訊ねると、ユエは何故か黙った。

「……わたしも詳しくは知らないけど。何か色々な物を集めてる?って話だよね」

 村松さんも詳しくは知らないか。

「……本人に聞け」

 ユエはそう言ってこの話は終わりとばかりにアリアンの部屋へと向かった。

 部屋のドアをノックした。

『……どなたですか?』

「ディアーネだ。リウイ殿がお主に話があるそうだ」

『っ⁈‼ 少々お待ちを』

 その返事の後、部屋から凄い音が聞こえて来た。

 何をしているのか凄く気になるが。此処は素直に待とう。

 それから少し待っていると、ドアが開いた。

「お待たせしました。どうぞ」

 アリアンはピシッと身なりを整えて僕達を出迎えた。

 ドアの隙間越しに見えた虚ろな雰囲気などまったくなかった。

「邪魔するね」

「どうぞ、我が主」

 アリアンが笑顔で部屋に入れてくれた。そして、驚いた。

 部屋が真っ白な壁で字など何も書かれていなかった。

 先程見たものの痕跡などまるでなかった。

 最初、部屋を間違えたかなと思ったが。

 プリアが壁際におり白い塗料を塗っていた。その際、壁には赤い文字が書かれてるのが見えた。

 背筋に寒気が走ったが、見なかった事にして僕はアリアンに話をする。

「ああ、アリアン。頼みがあるのだけど」

「はい。何でしょうか?」

「今度『廃都』に行くのだけど付いて来てくれるかな」

「……わたしがですか?」

「うん」

「本当に?」

「うん。本当に」

 僕が頷くとアリアンは凄く嬉しそうな顔をした。

「……契約してからそれなりの時節は過ごしましたが、このように頼られる日が来るとは」

 そんなに嬉しそうな顔をされると、何か悪い事をした気分だな。

 そう思っていると、袖が引っ張られた。

 そちらに顔を向けると其処に居たのはプリアだった。

「・・・・・・」

「ああ、行きたいのかな?」

 僕がそう訊ねるとプリアは頷いた。

「危険だけど大丈夫?」

 僕がそう訊ねるとプリアは問題ないとばかりに胸を叩いた。

 まぁ、姉さん達も付いて来るし、それに『廃都』の近くにはプリアの同族も居るという話だったし連れて行っても大丈夫だろう。

 問題は。

「~~~~~~~~」

 アリアンが感じ入った顔で天を仰いでいた。

 連れて行っても大丈夫だよな。大丈夫だと良いな。

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