第72話 真面目な話ね
説得の甲斐も無く姉さん達が僕の『廃都』行きに付いて行く事になった。
家族同伴で行くとはピクニックじゃないのだからと思うのだが、戦力的に連れて行けばまず大丈夫なのが腹立たしい。
ああ、転生したのだから自分一人の力で生きてみたかったな。本当に。
先程まで居た部屋を出て僕は重い溜め息を吐きながら廊下を歩いていると。
「リウイ様。お顔の色が優れませんが如何なさいました?」
そう訊ねて来るのはアマルティアだった。
「何でもないよ。ティア」
「その割りに顔色が悪いと思うのですが?」
「まぁ、一言で言えば言えない色々な事があってね」
「そうですか。わたしに出来る事があればなんでもしますよ」
握り拳を作ってそう言うティアの姿に癒された。
思わず手を伸ばして頭を撫でてしまった。
「あっ、~~~」
ティアは嬉しそうに顔を緩める。
可愛いなと思いながら撫でていると。
「廊下の真ん中で何をしているのですか。貴方達は」
イザドラ姉上に声を掛けられた。
「あっ、姉上」
「何が『あっ、姉上』ですか。姉の前でイチャイチャしている所を見せつけるとはっ」
「ああ、すいません」
「まず最初にするのはわたしにすべきでしょうに」
「なんでだよっ」
どう考えてもそれはないだろう。
「まぁ、半分は冗談として置いておいて」
半分は本気なんだなと思ったが口には出さなかった。
「リウイ。話したい事があるのでちょっとついてきなさい」
「話?」
「ええ、貴方にとって大事な事です。リリムとリッシュモンドも呼んでいますよ」
リリムをリッシュモンドを呼んでいると聞いて真面目な話なのだと分かった。
最初聞いた時は。
『最近、リウイ成分が足りないので相手をしなさい』
という話でもするのかと思ったが違ったか。
真面目な話か。いったいどんな話をするんだ?
「じゃあ、行きましょうね~」
と言って姉上は両手を広げた。
これは無視すると面倒になると思い溜め息を吐いて近付いた。
姉上は僕を抱き抱えてた。
「いい加減抱っこするの止めない?」
「姉と弟のスキンシップなのですから良いでは無いですか」
これは僕が大きくなるまでするだろうな。
僕は重い溜め息を吐いた。




