表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
674/756

第70話 おお、神よ。何故、この様な苦行を与えるのですか?

 姉さん達を近くの温泉に行かせた数日後。

 空中双胴艦が戻って来た。

 出迎えは僕とソフィーと椎名さんがする事にした。

 リッシュモンドは仕事で忙しいの手が離せない。リリムは迷惑が掛かりそうなので店で待ってもらう事にした。椎名さんには何も言っていなかったのだが、何処からか聞きつけて付いてきた。

『久しぶりに会うのだから。顔ぐらい合わせておかないとね』

 と言っていたが、何が目的なのか分からないが、とりあえず戦闘行為は禁止とだけ言っておいた。

 正直に言って従ってくれるのかどうか不安であった。

 空中双胴艦が着陸して少しすると、竜人君達と共に降りて来たのが。

「やっほ~」

 やまびこみたいな事を言うのは前世の僕の幼馴染のマイちゃんだ。

「ふっふふ~、お久しぶりね~。リっ君」

「どうも」

「はは、そう固い態度を取らなくても良いよ。わたしと君の仲じゃない」

「はぁ、そう言って貰うと助かります」

「固いな~。もっとフランクにいこうよ。フランクに」

 それは無理だろう。

 僕は魔国の王位継承権を破棄した王族で今や一介の商人だ。

 対してマイちゃんは公国を拠点にしている傭兵騎士団の総団長に就いているのだ。

 幾らなんでも気安い態度を取る事は出来ないだろう。

「やれやれ、マイ。わたしにも挨拶させてほしいのだが」

「どうかん~」

 そう言うのはユエと村松さんであった。

 二人はマイちゃんの後ろで不満そうな顔をしていた。

「え~、いいじゃない。二人はこの前まで会っていたんだから。わたしは超久しぶりに会えたのだから」

「……ふっ、そのまま一生会えなけれな良かったのに」

 ポツリと言うか凄い大きな独り言を言う椎名さん。

 その瞬間、僕の頭の中でゴングの音が聞こえた。

「ああっ、まさか、こうしてもう一度会えるとは思わなかったわ。てっきり、龍に食われて骨すら残らず消化されたと思ったから。まぁ、椎名みたいな腹黒い性格の人を食べたら龍でも消化不良を起こしそうだけどね」

「ふふ、面白い事を言うのね。それにしても貴女みたいな無駄に行動力があって無駄にカリスマがあったからこうしてならず者たちを集めてサル山の大将になる事が出来たのね。普段からキー、キー煩い貴方にはピッタリな職業じゃない」

 二人は高笑いする。

 この二人。千年経っても仲は悪いのね。

 少しは歩み寄ろうという気はないのだろうか?

「ほほほ、これは何とも面白い事になっているの」

「本当だね~」

「これは温泉に行くよりも面白いわ」

「ふん。くだらない」

「……」

 何だか聞き覚えがある声が聞こえて来た。

 おかしい。その人達は此処には居ない筈なのに。

 そう思いながら声がした方に首を向けると。其処には。

「げげげぇ⁉」

 何と、姉さん達が勢ぞろいしていた。

「こりゃ、リィン。妾達を見て何じゃ、その反応は?」

「ど、どうしてここに?」

「そりゃあ、リウが。何かしようとしているのが分かったから、何をするのか気になったから行くフリをして戻って来ただけだよ」

「リウイ。貴方は昔から隠し事をするのが下手でしたからね。わたし達に隠れて何かしようとすると、挙動が変になるんですよ」

「まぁ、其処がウ~ちゃんらしいけどね」

「確かに」

 うそぉ。

 そんなに隠し事を下手なの?

 そう思いソフィーを見ると。

「…………(さっ)」

 目すら合わしてくれない!

 隠し事が下手だったんだ。僕。

 今の今まで自覚していなかった。

 ショックを受けていると、マイちゃんが姉さん達に気付いた。

「この人達は誰?」

「リウイ殿のご家族だ」

「へぇ~そうなんだ」

 ユエに教えられて、マイちゃんがロゼティータ姉様の前まで来る。

「初めまして。わたしは独立遊撃愚連傭兵騎士団『アヴァロン・オルドル』の総騎士団長のマイカ・S・ブリヴァニアよ。貴女のお兄ちゃんとは仲良くする為に来たの」

 そう言ってロゼティータ姉様の頭を撫でる。

「おにいちゃん⁈」

「この子。禁止行為をっ」

 マイちゃんの行い僕達は恐怖した。

 僕達兄弟の中では暗黙の了解としてロゼティータ姉様に対してしてはいけない禁止行為がある。

 その中には頭を撫でる。妹扱いするなど色々とある。

 アードラ兄貴以外は皆、その禁止行為に触れない様にしている。

 僕達は戦々恐々しながら、ロゼティータ姉様を見る。

「………………」

 やばい。怒りで顔が引きつっている。

 これは言わないと駄目だな。

「まいちゃじゃなくてマイカさん。こちらは僕の姉で長女のロゼティータです」

「…ええっ、うそっ。こんなに小さくて可愛いのに」

 おおいっ。小さいって言うのも禁止行為に入るんですけどっ。

 マイちゃん気にせずヘル姉さんの所まで来る。

「こっちの人が長女じゃないの?」

「そ、そちらは四女のヘルミーネです」

「こんなに怖いけどカッコよくて麗人みたいな四女なんだ~。こわかっこいいのに」

「こわいっ、格好いい⁉」

 マイちゃん言われたヘル姉さんは胸を射抜かれたような顔をしていた。

 あちゃ~、ヘル姉さんが人に言われたくない言葉一番と二番を言っちゃった。

 高身長で目付きが悪いので人に怖くてカッコいいと言われているが、本人からしたらコンプレックスなんだそうだ。

「この子。良い度胸しているね~」

「まぁ、度胸だけは買ってあげるわ」

 フェル姉とミリア姉ちゃんは感心していた。

「ふん。わたしはぜっっったいリウイとの関係は認めませんけどねっ」

 姉上は平常運転だったのが何故か安心した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ