第69話 とりあえず、少し出てもらうか
翌日。
一晩掛けてじっくりと熟慮した。
マイちゃんを姉さん達に会わせるのはまずいという結論に達した。
なので、適当な理由をつけて副都から離れてもらい、その隙にマイちゃん達と話す様にしよう。
「問題はどうやって、姉さん達を副都から出てもらうかだな」
それが思い浮かばなかった。
「この件に関して、相談できる人は…………」
僕の前世を知っているという事だから、リッシュモンドと椎名さんとリリムとソフィーの四人になる。
リッシュモンドはこういう案件にはイマイチ考えが回らない。
椎名さんとリリムは論外だ。
二人共、マイちゃんと相性が悪いんだよな。
陰で良く分からない事で喧嘩しているのを見かけた事があるからな。
それで残ったのはソフィーか。
「う~ん。何かいい案があるだろうか?」
と言っても自分では何か良い案が思い浮かばない以上、ソフィーに頼るしかないな。
「無理です」
ソフィーにマイちゃんが来る事を相談するなり最初の言葉がそれであった。
ガーンっという音が何処からか聞こえてきた気がする。
鏡で見なくても、今の自分の顔が絶望に染まった顔をしていると分かる。
「と言うのは冗談です」
今度は良い笑顔でそんな事を言い出した。
「・・・・・・えっと、何とか出来るって事?」
「はい」
ソフィーの返事を聞いて希望が生まれた。
「じゃあ、何で無理とか言ったのさ?」
「リウイ様がどんな顔をするのか興味が湧きまして」
悪戯成功みたいな顔をするソフィー。
くっ、揶揄われている。
ちょっと悔しいと思いつつ、とりあえずどんな事をするのか訊ねた。
「で、姉さん達を副都から離す方法は?」
「リウイ様がロゼティータ様方に何処かに行くように勧めるのですよ」
「何処に行かせるの?」
「この副都の近くには美容に良い温泉が有りますので。其処に湯治に行くのを勧めたらどうですか?」
「湯治ね」
何かババ臭いなと思うが。魔国では温泉と言える物は無かった。
なので、物珍しい感覚で行く様に勧める様にすれば行くかもしれない。
「他に手段はありますか?」
「……無いな。これでいくか」
ソフィーの提案に従い、姉さん達を温泉に湯治に行く事を勧める事にした。
僕に会いに来たのは良いが、暇だからか姉さん達はすんなりと行く事を承諾した。
イザドラ姉上にも勧めた。何でかと言うと居たら絶対に面倒な事になると分かるからだ。
最初姉上は頑として聞かなかったがロゼ姉様が何事か話すと、少し考えると承諾してくれた。
何て言って説得したのか気になるが、今はマイちゃん達が来る時期に合わせて湯治に行くようにする様にするのが大事だと思い訊かなかった。




