閑話 作戦会議
今月からはマメに投稿しますので、どうぞお楽しみください。
今回は村松視点です。
わたし達が公都に着いて、友人でもあり傭兵騎士団団長の真田ッチと会いに行き今迄の事を包み隠さず話した。
勿論、
「はああっ⁉ ノッ君が魔族に椎名が龍に生まれ変わっていて、更にわたし達が元居た世界から西園寺と黒川の子供達と椎名と天城の姪っ子達が召喚されて、その天城の姪っ子が伯父の死の真相を知りたくて『廃都』に行きたいですって⁉」
真田ッチは驚きのあまりテーブルを叩き壊していた。うん。予想通りの反応だ。
「済まんな。マイ。確証が持てるまで話すのは控えていた」
しれっとした顔で今まで言わなかった理由を言うチャンチャン。
どちらかと言うと、バレるまで秘密にしてその間独占しようという魂胆が見え見えだけどね。
「ちょ、ちょっとまって、いろいろなことがいっきにきいて、まだじょうほうのせいりが……」
真田ッチは知らなかった情報を一気に聞いて頭の中で整理するのに時間が掛かっていた。
頭を抱えてう~ん、う~んと唸りながら考えを纏めている。
「纏まったか?」
「もう少し時間が欲しい……」
「じゃあ、考えながら訊け。お前にこうして話したのはお前の手を貸してほしいから言っているのだ」
「手を貸すって、何をするの?」
「一言で言えば、これ以上ライバルが増えると面倒な事になるから手を貸せ」
「う~ん。そんなに多いの?」
「多いのもあるが、手強いのがそれなりに居る」
「誰と誰?」
「リリムと椎名とリウイの姉君の一人でイザドラという女だ」
三人の名前を聞いてわたしは納得する。
リウイ君に言い寄っている女性達の中でこの三人が最も強くそれでいて最も執着が強い。
ぶっちゃけ、この三人は一人で大国を相手に戦争できる程に強い。
わたしでも敵わないだろう。
「リリムと椎名は分かるけど、イザドラってどんな人?」
そう言えば真田ッチは会った事なかっけ。
う~ん。どんな人と表現したらいいだろう?
「ブラコンをこじらせてリウイだけを溺愛する様になったヤバイ女だ」
う~ん。言い得て妙だね。
「だが、その実力は半端ない。政治、軍事、個人的武勇のどれを取っても超が幾つも付くくらいに一流。また軍の統率力も古今東西の名将に比べても遜色ない女傑だ」
これでブラコンじゃなかったら、完全無欠だったのかもね。
「成程。要するに凄い優秀だけど性格が残念なリウイのお姉ちゃんという事ね」
「そうだ。で、お前はどうする?」
「ふふん。そんなの決まっているでしょう。ユエ。わたしの幼馴染なんだから、わたしがどんな事を考えているか分るでしょう?」
「まぁな。お前達とはほんっっとうに長い付き合いだからな」
「へへ、確かに。セナ」
「はいはい?」
「あんたも手を貸すでしょう?」
「モチのロンだよ」
「良し。じゃあ、その『廃都』に行くのはわたしも同行しても良いわね」
「椎名とリリアにあのイザドラが居る以上、背に腹は代えられん」
「ふふ~ん。待っててね~。ノッ君? 転生したんだからこの場合リウ君?」
「わたしはリウイと呼んでいるぞ」
「わたしはその時によって呼び方を変える様にしているよ」
「じゃあ、わたしはウ~君で?」
「リウイの姉の一人がそんな呼び方をすると聞いた事があるぞ」
「ええ~、何人兄弟だっけ?」
「姉が五人に兄が十五人だ」
「か、家族多いね。う~ん。ねぇ、二人共。どんな呼び方が良いと思う?」
そして、わたし達は真田ッチがリウイ君に対してどんな呼び方をするのか話し合い、最終的には『リッ君』になった。




