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閑話 親父、あんたの友達が凄い偉人になっているぜ

 私事で投稿が遅れて申し訳ありませんでした。

 毎日ではありませんが折を見て投稿していきます。

 今回は黒川信之視点です。

 村松さんに言われて、俺達はまず荷物を降ろそうと思い人に聞きながらその『マンティコアの居眠り亭』へと向かった。

 其処は白い外装の四階建てで何かの石材で造られたホテルだった。

 俺達が居た世界でこんな立派なホテルに泊まったら、一泊何万は取られるんじゃないのかと思えるぐらいに豪華なホテルだな。

 そう思いながらホテルの中に入ると、外装も凄かったが内装も凄かった。

 エントランスホールに入る俺達を出迎えたのはデカいシャンデリアだった。

 こんなにデカくて凄いシャンデリアなんて生まれて初めて見たぞ。

 吹き抜けにしているからか、天井が高かった。

「なぁ、西園寺。此処がほんとうに、俺達が止まるホテルなのか?」

「多分、村松さんも言っていたし」

 西園寺はそう言うが、俺は場違いとしか思えなかった。

 こんなホテルどっかの貴族とか金持ちが泊まるような所が俺達が泊まれると言われても、これはドッキリじゃないのかとしか思えなかった。

 西園寺と椎名の家は金持ちだから、平然としているが俺と龍月は流石にこんなホテル止めれる程の金持ちでも名家でもないんだぜ。

 龍月も同じ気持ちなのか、妙にソワソワしていた。

「あそこに人が居るけど、多分フロントだな」

「じゃあ、其処でわたし達の事を聞きますか」

 西園寺と椎名は自分達の事を聞きにフロントに行った。

「おいっ。置いていくな」

 こんな所で取り残されたら、色々な意味で困るので俺は二人を追い駆けると龍月も慌てて追いかけた。


 フロントの従業員に俺達の事を話すと、既に話が通っていた様で。

「二人一部屋で用意しております。ご案内しますね」

 と言って従業員が二人程きて部屋の案内をしてくれた。

 部屋に着くまで従業員と少し話をした。

 この宿の名前についてとか。この公国の成り立ちとかを。

 で、部屋に付いて中に通されると。室内を見て目を見開かせてしまった。

 一部屋に何ルームあるんだと思えるぐらいの広さだ。

 どう見ても部屋の間取りがおかしかったが、案内をしてくれた従業員が空間魔法を使っていると教えてくれた。

 つまり、あれだ。〇リー〇ッターの話に出て来たテントみたいな感じって考えれば良いんだと理解した。これ十人ぐらい泊まれるんじゃあねえのかと思える広さだ。

「ご苦労様。少ないけどこれを」

 俺が部屋に豪華さに驚いていたが、西園寺は特に驚く事なく案内してくれた従業員にチップを渡していやがった。

 なれてるなぁと感心しちまったぜ。

 従業員が出て行くと西園寺は荷物を降ろして、部屋の中を見回した。

「へぇ、この部屋。寝室が二つあるな。だから二人部屋なのかな?」

 と言いながら室内を見回していた。

 俺は何か触れると壊しそうだったから立っているのに。あいつは平然としているな。

 向こうの世界じゃあ、西園寺はこういうホテルに泊まっていたんだろうな。

 それぐらい淡々としていた。

 室内を見終わると、西園寺は感嘆の吐息を漏らした。

「凄いな。こんなホテルは元居た世界でも泊った事ないよ。これも異世界に来たから出来るんだなっ」

「へっ⁉ お前、こんなに良いホテルに泊まった事は無いの⁉」

「うちの両親って、どちらかと言うとアウトドア派で。遊園地とかは行った事はあるけどホテルには泊まらないで車中泊とかキャンプに泊まっていたから」

「へぇ~、そうなんだ」

「父さんが『こうしてテントを張っていると、あの頃を思い出す』って言うからしているって感じだね」

「はぁ~、それにしちゃ随分と淡々と室内を見ていたな?」

「そうかな? これでも結構凄いと思って見ていたけど」

 こいつ、表情筋が固いのかな? 

 それなりに長い付き合いだけど初めて知ったぜ。

 それからは、とりあえず二つある寝室のどちらかを選んで、俺達は荷物を降ろしていた。

 すると、扉がノックされた。

 誰だ?と思いながら扉の方に行って、扉を開けると其処には椎名と龍月が居た。

「おう、どうした?」

「わたし達これから外に出て此処がどんな所か見て回ろうと思ったんだけど、二人はどうするの?」

「そうだな・・・・・・」

 俺は少し考えた。

 今日は休んで明日、この公都を回ろうかなと思っていた。

 部屋に案内する時に従業員から少し話を聞いたが、公都はとても一日で回れる様な所ではないという所だと分かった。要所を回っても一日で足りないだろうな。

 それに、公都(ここ)には何日居るか分からないからな。回れる内に回った方が賢明か。

「ちょっと待ってろ。西園寺にも声を掛けて行くかどうか聞いて来るから」

「黒川君は?」

「俺は付いて行く」

 そう言って俺は部屋に引っ込んで西園寺に訊ねにいった。


 そして、俺達はホテルを出て公都の観光名所を回った。

 驚いたのは俺達が泊っている『マンティコアの居眠り亭』も名所だったそうだ。

 従業員から聞いた話だと初代公王が飼ったペットにマンティコアが居て、そのマンティコアがこの宿の屋根で昼寝をしていたからついたそうだ。

 他にも歴代公王の名言を記した所、初代公王が命名した劇場。

 その劇場の演劇にも初代公王が出て来た。

 と言うか、何処かしこも初代公王が出て来た。

 親父。あんたの親友は凄い偉人になっちまったぜ。

 でみ、不思議なのが親父の話を聞いた限りだと「高身長のぽっちゃりで人の良い奴」って言っていたな。

 だが、公都に建っている銅像とかだったらスマートなんだけど、こっちの世界でダイエットしたのか?

 最後に初代公王の墓という所に来たけど、卒塔婆みたいな物が二本立っているだけだった。

 やはり、故郷が日本だからか墓も故郷と同じ物にしたかったんだろうな。

 親父の友人と言う事で、親父の代わりにお参りに来た。

 俺が拝んでいると西園寺達も一緒に手を合わせた。

 どんな人なのか会って見たかったな。

 その頃 副都では。

「へくしゅっ」

 部屋で書類仕事をしていたリウイがくしゃみをしていた。

「どうしました?」

 ソフィーは仕事の手を止めて訊ねた。

「いや、何か鼻がムズムズして」

「ここ最近、寒暖の差が激しいですからね。寝室に温かい布団を用意しますね」

「お願い。・・・・・・ぐす」

 リウイは鼻を啜った。

 内心、誰か噂したのかな?と思った。

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