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閑話 公都に向かう

今回は村松視点です

「んじゃあ、行って来るね~」

 わたしは店先まで見送りに来た猪田君ことリウイ君に手を振る。

「気を付けてね」

 リウイ君は手を振ってくれる。

 う~ん。何か凄い嬉しそうだ。

 これは余程、公都に行きたくなかったんだなと思ったよ。

 気持は分かる。わたしも前世の自分がした事が百倍美化された所に行ったら、ああなるかも知れないからだ。

「リウイ。何時までもそうしてないで。仕事をしますよ」

「ええ、でも」

「駄目です。はい。行きますよ。大丈夫。わたしも手伝いますから」

 リウイ君の今世のお姉ちゃんの一人であるイザドラさんが店内へと連れて行った。

 わたしの勘だけど、何となくリウイ君には肉親としてだけではなく男として好意を持っている気がする。そこら辺はどうにも鈍いので分からない。

 チャンチャンやユキナッチに聞いてみたら。

『くくく、面白い。障害が大きければ大きい程、手に入れるのが嬉しいものだ』

『う~ん。リウイ君のお姉さんだから殺したら、リウイ君に嫌われそうだだから駄目。でも、邪魔なんだよね。う~ん。どうしよう・・・・・・』

 もう、完璧好敵手認定していた。

 あの二人は猪田君が生きていた頃から仲が悪い。

 その内、全面戦争とかしそうなんだよね。

 その時はリウイ君と一緒に宥めよう。

「セナ。そろそろ行くぞ」

 わたしの事をセナと呼ぶのは名前をディアーネと改めたチャンチャンだ。

 わたしはディアネンと呼んでいるが、本人曰く、前とどっこいどっこいの呼び方だなと言う。

 しかし、別な呼び方をしろとか。わたし達の事を知っている者達しか居ない時は昔の呼び方で呼べと言っているので、別に呼び方が嫌いではない様だ。

 ユキナッチは付いてこないそうだ。本人曰く。

『リウイ君が此処に居るのに付いていく理由が無いわ』

 と言っていた。

 それを訊いてユキナッチらしいと思うね。わたしは。

「は~い。じゃあ、行こうか」

「はい」

 わたしが声を掛けて答えたのは西園寺君の子供の竜人君だ。

 言われてみると、どことなく顔立ちが西園寺君に似ている。

 子供が出来る位にしか、向こうの世界では年月が経っていないのかと思う。

 だとしたら、わたしの両親は生きているのだろうな。

 まぁ、会う気はないけど。あんな仮面夫婦なんかに。

「どうかしたんですか?」

 わたしが物思いに耽っていると、リウイ君の前世の友人の黒川君の子供が声を掛けて来た。

 名前は忘れたので、その内覚えよう。

 わたしからしたら黒川君って誰だっけ?ていうぐらいに覚えが無い。

 なので、どうにも他の子とは違って別に何にも思わないんだよね。

「何でもないわ。行きましょうか」

「はい」

「わかりました」

 その黒川君の傍に居る二人の女子を見る。

 一人はユキナッチの姪っ子のディアナちゃん。

 ユキナッチの家族には一度も会った事が無いので分からない。

 その上、母親が外国の人の様なのでユキナッチの姪っ子って言われても本当かな~という気持ちしかない。

 まぁ、その子よりももう一人のこの方が問題だ。

 龍月桜華。

 前世のリウイ君を殺した天城ッチの姪っ子だそうだ。

 チャンチャンとユキナッチからしたら、天城ッチは殺しても許さない存在だ。

 わたしもは恨みはある。多分、サナダッチも同じだろう。

 不思議なのが、殺されたリウイ君が全く殺された事を恨んでもいないのが不思議であった。

 最初、それを訊いた時は本気で言っているの?と思った。

 でも、リウイ君らしいなとも思った。

 少し話したが悪い子ではない。そして、伯父がどうして死んだのか知りたいという気持ちがよく分かった。

 それを知ったら遺族が悲しむだろうと思い伏せた西園寺君の考えが仇になったね。

 でも、それを知ったらどれだけ傷つくか分からないと思うと、胸が痛むな~。

 そう思いながら、わたしは四人を連れて公都に向かう為に借りた空中戦艦に向かう。

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