第67話 信用されていないととるべきか?
「二人は僕が『廃都』に行くのは反対なの?」
そう尋ねると直ぐに頷く二人。
「なぜ?」
「わたしが言いたいのはどうして、リウイ様が案内するかという事です」
「別に良いと思うのだけど」
「いいえ」
リッシュモンドが首を横に振る。
「そも。そんな所に行く理由はあるのですか?」
「噂だとアイゼンブルート族がいるって言われているから、どんな種なのか見てみようと思うんだ」
「そのついでに『廃都』にも行くと」
「そうだよ」
「前世の自分を殺した者の墓参りですか?」
「そんな感じ」
僕がそう言うと、二人は揃って溜め息を吐いた。
何で、溜め息をつくかな。
「人が良いと思いましたが、ここまでとは」
「前世の記憶を持っているとは言え、こんな性格なのは生まれつきかしら? それともわたしの育て方かしら?」
何か心外だ。
「別に前世の事なんだから、気にしなくても良いと思うけど」
「前世の自分を殺した者の墓参りとかどういう神経をしているのですか?」
「鈍感と言うべきか度量が広いと取るべきか迷うな」
僕の前世を知っている人達は、僕が墓参りに行くと言うと皆してこんな反応を取るな。
いや、姉上は違うか? わたしが付いていくのなら問題は有りませんという感じか。
「とにかく、もう行く事はもう決定しているのだから。二人が何と言おうと行くからね」
「どうしても行くのですか?」
「勿論」
「この大きくなった店を放って?」
「まさか、帰ってくるとこんなに大きくなっているとは誰も予想できないだろう。僕が居ない間は二人に任せる」
正直に言って、僕が店長をしている時よりも繁盛しているんじゃないのか?
そんな気がしてならない。
「リウイ様に確認が必要な書類がそれこそ山が出来そうな位に溜まっているのですが」
「そこら辺は任せる」
「リウイ様に面会したい者が沢山居るのですが」
「そこら辺もまか・・・・・・面会したい人?」
誰が会いたいんだ?
「顔ぶれは?」
「ええっと、・・・・・・地位が上の方から順に言いますと。イストリア帝国の親善大使。ゾオン共和国の親善大使付き文官。公国の副都商人組合の組合長。公国の副都職人組合の組合長。行商人組合の組合長。他にもこの副都にある商会の会頭など沢山おられます」
おいおい。僕が居ない間にどれだけコネクションを作ったんだ?
「イストリア帝国と副都の組合の組合長まだ分かるけど。ゾオン共和国の方は?」
「はぁ、我が商会の商品が気に入ったのがあったので、共和国にも流通してもらうように頼んで来ました」
「そ、そうなんだ」
う~ん。確かに僕が顔を出さないと駄目だよな。
「・・・・・・面談と書類仕事を終えたら行っても良い?」
そう尋ねると二人は少し考えて。
「まぁ、我らも行って欲しくないと言いましたが。言っても行くだろうと思いますので」
「やるべき事をしてくれたら行っても構いませんよ」
「なら、最初からそう言ってよ」
「それはそれですから」
素知らぬ顔で言う二人。
まぁ、竜人君達が『公都』に行っている間に片付けるか。
丁度、案内できない理由が出来たと思えば良いな。




