第66話 おお、ここでもバレたか
リッシュモンドと雑談に興じながらソフィーが来るのを待っていた。
そうしていると、ドアがノックされた。
「どうぞ」
『失礼します』
その声と共にソフィーが部屋に入って来た。
「御寛ぎの所に来て申し訳ありません」
「いや、別に気にしなくてもいいから」
別段、寛いでいた訳ではない。
それにこんなに豪華な部屋では寛ろごこうとしても寛ぐ事も出来ない。
前世が庶民だったからか、どうにも貧乏性が消えない様だ。
「そうですか。この部屋では落ち着きませんか」
僕の答えを聞くなりそう言うソフィー。
別にそんな事を言ってはいないのだが、流石は僕の乳母なだけあって僕の考えを読んでいる。
そして、ソフィーが備え付けのカウチに座る。
「さて、ソフィーディア殿が来たので話が出来ますな」
「話ね。何の話?」
「二つあります」
リッシュモンドが指を二本立てた。
二つ? 一つじゃないのか?
「どんな話?」
「まず一つ目の話をする前に申し訳ありません」
「何故、謝る?」
「バレました」
「・・・・・・はい?」
バレた? 何がと思ったが直ぐに分かった。
「・・・・・・ソフィー」
「はい。何ですか? リウイ様」
「ええっと、・・・・・・僕が前世の記憶を持っている事を何時知ったの?」
「少し前にリウイ様とリッシュモンド様が話していたのを聞きまして」
おおう、その時からか。
誰も居ないだろうと思って油断したな。
「リウイ様が居ない間に問い詰められまして。最初はすっとぼけていたのですが。追及は激しくて。つい」
「・・・・・・あまりこの事は知られたくなかったんだけどな」
これで秘密を知る者が増えた。
まあ、隠し事をしていたらバレる時はバレるから仕方がない。
そう思って割り切る事にしよう。うん。
「それで、ソフィーはどう思う?」
「別に普段と変わりませんよ。前世の記憶を持っていても、リウイ様はリウイ様ですから」
「ソフィーの場合はそう言うと思ったよ」
何となくだけど、そんな気がした。
「話は分かったけど。もう一つの話って何?」
「二つ目ですが。わたしとソフィーディア様の総意ですが。リウイ様『廃都』に行くのはお止め頂けないでしょうか」




