第65話 話がしたい?
その夜。
店が新しくなった事で、宿に泊まる事は無くなり僕専用の部屋に案内された。
案内した者に感謝して僕はドアを開けた。
ドアを開けて中を見るなり、思わずドアを閉じてしまった。
何か故郷に居た頃に住んでいた城の部屋よりも豪華であった。
あの部屋も別に質素ではなかった。
部屋の広さは畳で計算すると六十畳はあった。
その上、用意された家具一式が置かれていたので不自由は感じなかった。
その部屋を使っているともっと小さい部屋で良いと思った。
だが、言えなかった。もし言いでもしたら。
『そんな部屋にリウイを住まわせる訳にはいきません!』
と姉上が言うのが目に見えたからだ。
なので、そんな事は言わなかった。
だが、この部屋はどうだ。
僕は改めてドアに手を掛けて部屋の中を見た。
広さは百二十畳はある。其処が部屋に入って直ぐに所だ。
驚く事に、この部屋には奥があって更に幾つも部屋があったのだ。
「広すぎる上に部屋数が多すぎる。これが僕の部屋か?」
どう見てもホテルのVIPルームと言われた方がしっくりくるな。
「これは流石に一人で使うのは気が引けるな?」
「どうかなさいましたか?」
僕が部屋に入るのを腰が引けているとリッシュモンドが話しかけて来た。
「ああ、こんな豪華な部屋が本当に僕の部屋なのかと思って」
「間違いなくリウイ様のお部屋です」
断言するリッシュモンド。
そう言われてもな~。
こんな部屋で生活したら肩が凝りそうだ。
そう部屋の中を見ていたけど、リッシュモンドが来たので何か用があって来たのだと思い顔を向ける。
「それで、何の用?」
「はっ。お話しがありまして参りました」
「話?」
何の話だろうか?
「まぁ、とりあえず中に入って話そうか」
「はい。ああ、もう少したらソフィーディア殿も参ります」
「ソフィーも?」
ソフィーまで来るなんて、何の話だろう?
ますますわからなくなったな。




