第63話 荒事かと思ったが、問題なかった
「居ないって、ソフィー」
「はい。シャロン様の今日の予定ですね。少々お待ちを」
そう言ってソフィーは一度部屋に戻ると、手に紙の束を持ってやって来た。
「本日のシャロン様の予定は一日休みですので、今日は何処かに出掛けたのだと思います」
様付けという事は、シャロンさんの身分がハノヴァンザ王国の王女だと分かっていると思って良いのだろうな。
「護衛は付けているの?」
「はい。ルノワ率いるエルフ達が護衛に。後密かにバシド達も陰で護衛しております」
じゃあ、大丈夫か。
ルノワとバシドが護衛しているのなら。
「じゃあ、問題ないね。じゃあ、ちょっと部屋に入って話をしようか」
「分かりました。リッシュモンド殿も宜しいですね」
「無論」
リッシュモンドの問題ないと言うので、僕達はオーナールームに入った。
「そんな事があったのですか」
「・・・・・・何と言いますか、リウイ様らしいと言えばらしいですな」
話を聞き終えたソフィーは呆れていた。
リッシュモンドは何か不満そうな雰囲気を出していた。
今迄の話で何か不満に感じる事があったか?
「まぁ、そんな訳で僕とこの竜人君達はちょっと『公都』と『廃都』に行って来るね」
「その二つの都はちょっと、という距離ではないのですが・・・・・・」
ソフィーは頭が痛そうな顔をした。
「いやぁ、これは約束した事だから」
「そんな約束しないでください」
ソフィーはピシャリと言う。
「まぁ、そう言わずに。それに足はあるから」
「話に出た空中戦艦ですか。公国内ではゾディアス卿の計らいで何とかなると思いますが『廃都』へはどうでしょうか?」
「何か問題でも?」
「実は商人からの情報なので正確には分からないのですが『廃都』の近くまで領地を持っている神聖王国という国が近く『聖戦』を行うという情報が有りまして」
「聖戦? なにそれ?」
「その神聖王国はにかつてその『廃都』を征服しようと思ったのですが、失敗した事でその失敗を取り返そうとやっきになっているそうです」
「はぁ、そうなんだ」
「と言っても、もう九回ほどその『聖戦』を行っているそうですが、未だに成功していないそうです。寧ろ、その侵攻で死んだ者達がアンデットとなって襲い掛かるので増えるという話です」
「要するに骨折り損のくたびれ儲けか」
良くそれで侵攻するな。何か目的が有るのか?
「『廃都』に何かあるとか?」
「其処までは、ただこれも噂なのですが。その『廃都』には途轍もない財宝があるとかないとか」
「財宝ね。ありがちな話だ」
その財宝欲しさに侵攻して失敗して、その失敗を挽回しようと攻め込んで失敗しているという所なんだろうな。多分。
「じゃあ、その『聖戦』に係わらない様にすれば問題ないか」
「出来ますか?」
何か信用がない顔だな。
大丈夫。これでも平和主義だから。




