第61話 ただいま
「まぁ、とにかく。皆に帰って来た事を報告しないと」
「そうですね。ご案内します」
アマルティアが案内しようと僕の手を取ろうとしたら、ティナがその手を叩き落とした。
「・・・・・・」
それでもまた手を伸ばそうとしたが、その手も叩き落とすティナ。
「何しているの?」
「べつに~、ただ、偶々虫が飛んでいただけだし~」
そんな偶然があるわけないだろう。
「ふふ、アナタとは一度、ちゃんと話し合った方が良いようですね」
「上等‼」
アマルティアは剣を出して、ティナは腰から魔弾銃を抜いて構えた。
「「・・・・・・っ⁈」」
二人はほぼ同時に駆け出して戦闘が始まった。
どうしよう。止めるべきか放っておくべきか。
「リウイ殿。早く店の中に入ろう。此処に居れば面倒な事になる」
ユエが入る様に促した。
「うん。まぁ、確実にそう言えるけど、良いのかな?」
「じゃれているだけだ。放っておきなさい。それよりも、早く入りましょう。リウイ」
姉上が僕の手を取って店の中へと入って行った。
「・・・・・・っち」
「あら、あらあら? 手を取ろうとして失敗したの? ねぇ、どんな気分? どんな気分なの? 張さん?」
「黙れ。蛇モドキ女。全く相手にもされない女がわたしを揶揄おうなど、生まれ変わって出直してもなお、千年早いわ」
「ふふふ、自分も人間辞めたくせに面白い事を言うわね」
「お前の場合は、大量虐殺したからだったか? 実に業が深いお前らしい事だ」
「「ふふふふふふふふ」」
ああ、ストッパー役の村松さんが居ないから衝突しちゃった。
はぁ~、今度から村松さんが居なくても、二人が衝突しない様に出来ないかな。
「リウイ様。わたしはあの四人を見ますので、どうぞ中へ」
「分かった。任せたよ。リリム」
「はっ」
四人の事はリリムに任せて、僕と姉上とプリアと竜人君達は店の中へと入って行った。
店内に入ると、大きな天井にある窓が明かりを取り込んでいる事で、明るく解放感があった。
店も広く天井も高い事もあるからだろう。
内装の壁が白くしているのは、汚れても直ぐに汚れている事が分かるからだろうな。
そう思いながら、店内を見て回っていると。
「リウイ様‼」
大声が聞こえたので、その声の方に顔を向けるとシャリュが居た。
「やぁ、今帰って来たよ」
「・・・・・・お帰りなさいませっ」
僕の傍に来ると、本物かどうか確認する為なのか僕の頬や髪を触れたりしてから、帰りを喜び出した。別に死んだわけではないのだけど。
そうしていると、シャリュの声を聞いた他の店員達も僕の所までやってきて挨拶してきた。
ああ、皆に出迎えられるとようやく帰って来たんだと思う。




