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第60話 僕が居ない間に、そんな事が

「で、僕が居ない間に何がどうなって、こんなに大きな建物を建てる様になったの?」

「う~ん、簡単に言うと、リッシュモンドが『リウイ様がおられないからと言って、店を繁盛させないとなれば、長年の部下としての沽券に係わる』とか言って、何か奮起したら、こうなったの」

「うん。全然、分からない」

 リッシュモンドが奮起して、どうしてこうなるのかの経緯が全く持って分からない。

 せめて、どうやってこの区画を丸ごと買い取れるほどの金を手に入れたのかを教えてくれると助かるのだけど。

 ティナの説明だとな。誰か話すのが得意な人に聞くのが良いか。

「まぁ、リウイ様!」

 誰に聞くべきかと考えていると、其処にアマルティア達がやってきた。

 手に袋を持っているので、何かの買い物をした帰りかもしくは用事を頼まれたかのどちらかだろう。

 アマルティアの後ろにはお供に二人の女性がついていた。

 よく見ると、目の瞳孔の部分が縦長であった。

 この女性達は恐らく十二氏族のジャミニン族の人達であろう。

 アマルティアは持っている荷物をその女性達に渡して、僕に抱き付いてきた。

「ああ、良く御無事で。御帰りを一日千秋の思いでお待ちしておりましたっ」

 抱き付いた事で胸が当たる。

 誰かとは言わないが、年齢よりも育っている胸が僕に抱き付く事で潰れる。

 その柔らかい感触に顔をだらしなくしていると。

「っっっ‼」

 突然、尻に痛みが走った。

 何事だと思い振り返ると、側に居るティナが僕の尻を抓っていた。

 声を上げそうになったが堪えた。

 そして、目で何でこんな事をするのとティナに訴えると。

 顔を背けるティナ。

 いや、頬を膨らませて顔を反らされても困るのだけど。

 というか、いい加減抓るのやめてくれるかな。


 少しして。アマルティアがようやく離れた。

「すいません。久しぶりにお会いできたので嬉しくて」

「いやぁ、まぁ、仕方がないよね。ははは」

 痛む尻を抑えながら僕は笑う。

 そして、真面目な顔をする。

「ところで、店が移転したって聞いたけど、これはどういう事?」

 僕は移転した『翔鳳商会』の店がある区画を見る。

「ああ、それはですね。長い話になりますので、簡潔で分かりやすく話しますね」

「お願いするね」

 アマルティアの方がティナよりも分かりやすくかつ簡潔に教えてくれるだろう。

「ええ、さっきわたしが言ったのに、どうして聞くの?」

 そんなの、ティナの説明ではまったく分からないからだよ。

 心の中で思うが声には出さない。流石に傷つくだろうし。

「簡単に言いますと、リウイ様が攫われてから暫くの間、平穏だったのですが。リリアンさんが攫われた頃ぐらいに、この副都にある複数の商会がわたし達の店を乗っ取るか吸収しようと動き出したのです」

「ほぅ、それはまた随分と賭けに出たね」

 提携先の『鳳凰商会』を恐れなかったのか、それとも『鳳凰商会』の手が伸びる前に決着をつけるつもりだったのかは分からないけど。

「それで見たリッシュモンドさんとソフィーディアさんが色々な手を使って、逆にそれらの商会を潰していったのです。合法的に」

「・・・・・・・」

 あの二人の事だから、合法とはいええげつない手段を使ったんだろうなと思った。

「そのお陰で資産を増やす事が出来まして、そのお陰で店を移転し区画を買い取る事が出来たのです」

 おお、ティナより分かりやすくそれでいて、何が起こって区画を買い取る様な事になったのか分かった。

 しかし、まぁ、あのリッシュモンドとソフィーが頑張ったお蔭か。

 混ぜたら危険の組み合わせだったとは予想すらしなかった。

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