第54話 出国
数日後。
戦艦『双龍帝皇』の準備が完了したという事で、僕達はこの国を出て公国に向かう事になった。
メンバーは竜人君。信之君。ディアナさん。龍月さん。イザドラ姉上。リリム。ユエ。椎名さん。村松さん。プリンツスエンアーヌルと後は姉上の麾下の軍団『魔導甲殻兵団』と少し前に来たジェネラルゼーリエ・ウーズィーベン率いるアイゼンブルート族の部隊。最後に村松さんが連れて来た十二氏族の部隊。
アイゼンブルート族の方は部隊と言うが、規模で言えば軍団規模と言っても良い数が来ている。
自分の麾下である事を示す為か、ウーズィーベンが率いて来たアイゼンブルート族は全て黒く塗装されていた。
「なぁ、あれってロボットだよな?」
「ああ、そうだな」
竜人君と信之君は船に乗るアイゼンブルート族を見てロボットだと言う。
まぁ、気持ちは分かる。
僕も最初見た時はそう思った。
「リウイ殿」
名前を呼ばれたので振り返ると、其処にはユエと椎名さんと村松さんが居た。
「後少しで軍団は全て乗り終えるそうだ。その後は我々が乗り込むぞ」
「分かった。操舵とかは誰がするの?」
「イザドラ殿の部下がすると聞いている。何でもリウイ殿が魔国に行っている間に操舵の仕方を教わったそうだ」
何か魔国に行っている所を強調しているのは気のせいか?
「酷いわね。故郷に帰るのならわたしにも一言言っても良いのに」
「まぁ、其処は同感だな。だがな、椎名」
ユエは椎名さんを見る。
「お前『に』話す必要はないだろう。わたしに言う必要は有るだろうがな」
「あら、張さん。それは、別に言わなくても問題ないと思うのだけど、リウイ君も幼馴染だからって言う必要もないだろうし」
「ふふ、それを言うのなら、お前なぞただのクラスメートだろうが」
「今はね」
「何を寝ぼけた事を言っている。今も昔も、お前が、リウイ殿とくっつく事など、未来永劫ないっ」
「そんな事、分からないでしょう。それを言うのなら、そっちだって同じことを言えるでしょう?」
「ほぅ・・・・・・」
目を細めるユエ。
「ふふふ・・・・・・」
口元に笑みを浮かべているが目が笑っていない椎名さん。
この二人。その内、歩み寄るという事をするのかな?
・・・・・・う~ん。無理か。
「この二人。生まれ変わっても仲が悪いんだね」
「そうだね」
睨み合う二人を見て村松さんが呆れた様に評した。僕も同意する。
「貴方達、何時まで其処でじゃれているのです」
姉上が声を掛けて来たので振り返ろうとしたら、何か柔らかい物が後頭部に当たる。
そして、脇に何かが通された。
下を向くとそれは腕だった。
「何時までもじゃれていないで、そろそろ船に乗りなさい。他の者達は乗っていますよ」
そして、持ち上げられた。いつもの如く姉上が僕を持ち上げているようだ。
この人はどうして、僕を持ち上げるんだ?
「さぁ、リウイ。一緒にのりましょうね~」
僕を抱き締めながら姉上は船へと向かう。
まぁ、二人の睨み合いが宥める必要が無くなったから良いか。




