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第40話 宴が終り、後は眠るだけという所で

 夜が更けて宴に参加した殆どの人達は帰り残っているのは酒を飲めると言う事で残っているというメンツだけ残っていた。

 僕はさっさと眠りたいと思い、用意して貰った部屋で案内してもらった。

 其処は何と僕が前に使っていた寝室であった。

 誰も使いはしなかったが、定期的に掃除はされているそうなので問題なく使えるいうので、遠慮なく使う事にした。

 案内してくれたメイドの人に礼を述べて、僕はそのままベッドに倒れ込んだ。

 そのまま目を瞑っていたら、眠りにつくであろうという所で。

 コンコンっとドアがノックされた。

 誰だと思いながら、目を開いて扉の方へと向かう。

「誰?」

『わたしです。イザドラです』

 姉上? こんな時間に何の用だ?

「添い寝ならお断りだけど」

『いえ、大事な話があって来ました。開けて下さい』

 大事な話ね。

 まぁ、変な事を話しだしたら部屋から追い出せばいいか。

 そう思いながら、僕は扉を開けた。

「こんな時間にどうしたの?」

「大事な話があって来ました。部屋にはリウイ以外は居ませんか?」

「居ないけど」

「なら、好都合」

 そう言って姉上は部屋に入って来た。

 そして、部屋に備え付けの椅子に座る。

 部屋の主である僕に何も訊かずに座るのはどうなのかなと思いつつ、僕も対面の所に座ろうとしたら。

「リウイ」

 姉上が声を掛けてきたと同時に、手招きして来た。

 何かするのかと思いつつ、僕は姉上の傍に行く。

 すると、姉上は僕の目をジッと見る。

「・・・・・・」

 何も言わず無言で僕を見る姉上。

 これは何時になく何かあったのか?そう思いながら、僕は姉上と目を合わせる。

「・・・・・・リウイ。これから訊ねる事を正直に答えなさい」

「分かった」

 僕が頷く。それを見て姉上は深く息を吸った。

「・・・・・・リウイ。貴方は前世の記憶を持っていますね」

「うん。そうだよ」

「それを踏まえて聞きます。わたしが開発した『門』の魔法を使えるようになりたいですか?」

「出来ればなりたいな」

「それは、貴方の前世の故郷に帰りたいからですか?」

「っ⁉」

 驚いて声を詰まらせてしまった。

「前世の記憶がある。それは即ち自分を生んだ両親の事も兄弟の事も覚えているという事。その人達がどうなっているか知りたいと思うのは人情というものです」

「・・・・・・そうだね」

「だから、聞きたいのです。貴方は『門』の魔法を使える様になったら、前世の故郷に戻りたいのかどうかを」

「それは可能なの⁉」

「理論上では異世界と行き来する事が出来ます」

 姉上が断言した。

「・・・・・・もし、戻りたいと言ったら?」

「貴方がそう望むのなら別に構いません」

 優しく微笑む姉上。

「もし、それで前世の貴方の家族が転生した貴方を家族と認めて一緒に暮らしたいと言うのであれば、貴方の好きにしなさい」

 姉上は寂しそうな顔をしていた。

 僕と別れるのが嫌だが、でも、僕の意思を無視してまで一緒に居るのは駄目だと思っているという顔だな。

「・・・・・・大丈夫だよ」

 僕は姉上の顔を見ながら言う。

「もし、僕が『門』の魔法を使える様になっても故郷には帰らないよ」

 当然だ。

 前世の家族達と血が繋がっているのは前世の僕だ。『今』の僕ではない。

 家族の記憶があっても血が繋がらない僕を家族として受け入れてくれるのかどうかも分からない。

 それに『今』の家族は姉上達だ。

 もう、僕の中では向こうの世界に居る家族は家族では無いと思っている。

 だから、会いに行く事は無い。

「本当に?」

「うん。『今』の僕の家族は姉上達だから」

「ああ、リウイ」

 姉上は感極まって僕を抱きしめてきた。

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