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第35話 久しぶりに帰って来た

 急遽加わった兄貴と共に僕達は『門』の前に立った。

 後は其処を潜れば良いだけなんだけど。

 此処に居る人達の殆どの人が初めて見る魔法だからか、ちょっと入るのを躊躇っていた。

 僕はと言うと凄い緊張していた。

 この魔法は空間同士を繋いだ魔法だ。前世でも開発する事が出来なかった。

 その魔法を今、こうして体験する事が出来るとは。

 心臓がバクバクいっている。

「どうしました。リウイ?」

 イザドラ姉上が僕の顔を覗き込んで来た。

「いや、別に。ちゃんと渡れるかどうか心配で」

「ふむ。リウイがそう思うのも不思議ではありませんが、でも大丈夫ですよ」

 ニッコリと笑う姉上。

「リウイが渡る可能性も考えて、十分に人体実験を済ませましたから」

 人体実験?

 それは即ち誰かを実験に使ったという事だよね。

 誰だよ。そんな可哀そうな目にあった人は。

「ああ、有無を言わずたたっ込まれたな~」

 遠い目をする兄貴。

 もしかして、実験に使った人って兄さん達?

 まさか、姉上でもそんな事は・・・・・・しないとは言えないな。

 寧ろしそうだ。

「・・・・・・まぁ、そういう実験を行っているし、兄さん達もこの魔法のこの国に来たんだから大丈夫だね」

 じゃないと兄さん達の苦労も無駄になるからな。

 そう思い僕が最初に入る事にした。

「えい」

 掛け声と共に入ると、何事も無く出た。

 てっきり、時限の歪みとか何も無い空間を通るとか想像していたのだが、全然違った。

 何か、自分が居た部屋にあるドアを開けて別室に入った気分だ。

 まさか失敗したのではと思い周りを見た。

 だが、先程まで居た所と風景が違うのが直ぐに分かった。

「此処は何処だ?」

 周りを見てみたが、此処は何処だが分からなかった。

「リウイ様。御無事ですか⁉」

「へぇ、此処が魔国なんだ~」

 僕の後に続いたのか、リリムは僕を心配しながら通って来た。

 村松さんは通るなり周りの風景を興味深そうに見ていた。

「此処、魔国なの?」

「自分の故郷なのに分からないの?」

 僕が尋ねると村松さんは何を言っているんだろう?という顔をしていた。

 そう言われるとそうなんだけど、正直に言ってこの場所は初めて見るら分からないとしか言えない。

「どうです。リウイ。久しぶりに故郷に帰って来た気分は?」

 門を通って来た姉上がそう尋ねて来た。

 丁度いいので、此処は此処何処なのか訊ねる事にした。

「姉上。此処は何処ですか?」

「此処は魔都『ニヴルヘイム』のギャラブル魔宮殿の地下にある『門』の魔法を安定させる為の装置が取り付けられている部屋ですよ」

「新しく作ったの?」

「ええ、魔法を安定させる為に建材とか設計など一から作った部屋ですから」

 じゃあ、見慣れない部屋なのも可笑しくは無いな。

 そう思っていると、後続の人達がゾクゾクと門を通って来た。

「ところで、リウイ。久しぶりに帰った感想はどうなのです?」

「そうだね」

 ふと、頭の中である名言が浮かんだ。

 それは〇ン〇ムの中でも屈指の名言と言われている言葉だ。

 僕はそれをオマージュする事にしよう。

「故国の安寧と発展の為に、魔国よ。わたしは帰って来たっ‼」

 ・・・・・・ふっ、悪い気分ではないな。

「ぷっ、此処であの名言に似た事を言うとか、流石はノブじゃなかったリウイ君だ」

 村松さんは元ネタが分かるのか、笑いを堪えていた。

 元ネタが分からない皆はポカンとしていた。

「・・・・・・まぁ、そういう気分という事なのですね」

「はぁ、成長しても奇行は直らないのですね」

 ラミティーナさんがフォローしてくれたのが幸いだな。

 僕に甘い姉上が溜め息をついたのはちょっとショックだった。

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