第33話 で、行く事にしたのだけど
「分かったけど、誰を連れて行けば良いかな?」
「そうですね。数万の軍団をこの国に送る事が出来ましたので、何人だろうと大丈夫ですよ」
だったら、皆に声を掛けて行きたい人を全員連れて行くか。
とは言っても、姉さん達は故郷に帰るだけだから来ないだろうな。
リリアンさんは王位を継ぐ準備が有るので駄目。ジェシカと二コラさんも同じ理由で駄目だ。
リュウショは軍を率いているので駄目だ。
他に行く人と言えば、ユエ、村松さん、椎名さん、リリムっという所だな。
僕が声を掛けたら行くと言いそうなメンバーだな。
「姉上は付いて来るの?」
「勿論です。わたしが居れば安定して行き来が出来ますから」
だとしたら、衝突しそうな人は避けた方が良いな。
ユエと椎名さんは微妙だな。不満が溜まって爆発しそうだからな。
椎名さんも言わずもがなだし、ユエも気が短いからな。
だとしたら、まだ自制が効くリリムと人当たりが良い村松さんだな。
二人に声を掛けるとするか。
数時間後。
準備を整えた僕は二人に声を掛けた。
それで姉上に言われた場所に二人と共に向かったのだが。
「あれ? お祖父さん?」
何故か其処にはカリショウお祖父さんが居た。護衛なのか武装した者達数十人も供に居た。
お祖父さんがいるのも驚いたが、其処に母さんとセクシャーナトさんとラミティーナさんも一緒に居たので驚いた。
「来たか。リウイ」
「こんな所に来てどうしたの?」
「お主が魔国に帰ると小耳に挟んでな」
見送りに来たのか?
それにしちゃあ、武装しているのは何故だ?
「親父。そんなに魔国に行きたいのか?」
「うむ。婿殿の顔を一目見たいのでな」
ああ、その一言で分かった。
考えてみれば、お祖父さんと父さんって会った事がないんだよな。
だったら、会ってみたいと思うのも不思議ではないな。
武装しているのは謎だけど。
「じゃあ、母さんも付いていくの?」
「うむ。紹介ぐらいはしてもバチは当たらぬからな」
じゃあ、母さんも付いていくと。
「セクシャーナトさんは見送りですか?」
「わたしはそうだけど、ラティナは付いていくわよ」
「何故?」
「リウイちゃん。婚約したんだから、ちゃんとお父さんに紹介しないと駄目でしょう」
あっ、これはもしかして外堀から埋めていく作戦か?
まずは父さんに僕の婚約者だと紹介して、そのままなし崩し的に婚約させる心積もりだな。
「見合いをしたとは言っても、まだ婚約した訳では」
「じゃあ、貴方のお父様に会ったら婚約したと取っても良いのかしら?」
「それは気が早いですよ」
正直に言って僕はまだ婚約するつもりは無い。
「良いじゃない。今まで婚約しなかった様だから、一人ぐらい見合いをしたと言って連れて行っても良いと思うわよ」
確かにな。魔国では姉上が手を回したお蔭で婚約どころか見合いすらした事が無い。
そんな僕に見合いした人を連れて行けば、父さんは喜ぶだろう。
「愚息よ。連れていけ」
「でも、母さん」
「ガールフレンドが出来たと考えて連れて行けばいいであろう」
む、むうう、まだ婚約してない知り合ったばかりだからその言い分も通じるかな?
「じゃあ、仕方がない。そういう事で連れて行きます。良いですね?」
「ええ、問題ないわ」
微笑むセクシャーナトさん。
この展開を読んで、この場にラミティーナさんをと共に来たのではと思った。




