第32話 そろそろ行かないと駄目だな
お見合いが終った翌日。
朝日が部屋に差し込み僕はベッドから降りる。
転生しても寝起きの悪さは変わらなかった。
いや、この場合は低血圧か?
頭がボーっとする中で、誰かがドアがノックしてきた。
普通はこの場合、僕付きのメイドに相手をさせるのだけど居ないので僕がでないといけない。
こんな朝早くに誰だろうと思いながら、ドアを開けると。
「おはようございます。リウイ」
ドアを開けるとイザドラ姉上が居た。
満面の笑みを浮かべる姉上。
ドアを閉めようとしたら、隙間に足を差し込んで閉める事が出来ない様にされた。
「何故閉めるのかしら?」
「自分の胸に聞いて下さい」
僕がそう言うと、首を傾げる姉上。
「何かした覚えはないのだけど?」
この人は。昨日、僕が見合いしている所にユエ達を連れて来て見合いをぶち壊そうとしたのを覚えていないと言うのか。
まぁいい。アクシデントはあったが見合いは終える事は出来た。
後はどうやって破談に持ち込むかだな。
ああ、丁度いいや。姉上の知恵を借りるのも悪くないな。
「とりあえず、部屋に入ります?」
「勿論」
話もしたいので部屋に通す事にした。
で、部屋に入れるなり、姉上は。
「もう、寝癖をつけたままだなんて、身内であるわたしはいいですけど。外に出る時はちゃんと整えないと駄目ですよ」
と言って嬉しそうに櫛で髪を梳いてくれる。
そりゃ、まだ起きたばっかりだから寝癖の一つや二つあっても変ではないでしょうよ。
そう言いたいが、姉上の事だから「生意気な事を言う様になりましたね」とか言って頬を突っつくだろうな。
この人。僕が幾つになっても大きくなってもこうして可愛がるのかな?
「勿論。貴方はわたしの可愛い弟なのですか」
っ⁉ 声に出していなかったのにどうして僕が思っている事が分かったんだ?
とうとう、読心できる魔法でも開発したのか?
姉上なら有り得るな。
「ふふふ、貴方は本当に顔に出やすいですね。それで良く領主に成れましたね」
「それは今の事? それとも」
前世の事と続けて言おうとしたら、姉上はキッパリと告げた。
「両方です。まぁ、人を見つける才だけはあったようですけど」
「そうかな?」
「正直、良くあのリリムという者とリッシュモンドという者を部下にしましたね。普通なら部下にはしませんよ」
「ああ、確かに」
リリムは混血児だし、リッシュモンドは死人の中でも上位階級に入る生命無き王だからな。
正直に言ってあれは、うまく出会えたとしか言えなかった。
「って、そんな事よりも。姉上は何の用で此処に?」
「ああ、魔国に行く準備が出来たので何時行くか聞こうと思いまして」
そう言えば何時だったかそんな事を言っていたような気がする。
「分かった。ちょっとスケジュールを確認してから」
「そう言いますけど、リウイはこの国でする事はあるのですか?」
ふむ。そう言われると確かに。
リリアンさんを玉座に付ける準備は着々と進んでいる。
残る問題はシャロンさんをこの国に連れて来れば良いだけだ。
その為の飛空艇いやあれは空中戦艦だな。
本当は嫌だったが、皆がこれが安全だと言う事であの双胴艦に乗る事になった。
その準備の間、僕は魔国に言ってアイゼンブルート族から兵を借りなければいけない。
じゃないと、竜人君達の要望に応える事が出来ないからな。




