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第28話 中庭にて

 ラミティーナさんと共に中庭に出て咲いている花々を見ていた。

 色とりどりの花を見ながら話をしてみた。

「綺麗な花ですね」

「そうですね」

 ラミティーナさんは自分と同じ背丈の花に顔を近付かせる。

「う~ん。良い匂い」

 本当に良い匂いなのだろう。気持ちが良い位に良い笑顔を浮かべている。

「この花は何と言う名前なのかしら?」

「それは確か虹光(こう)()という名前の花ですよ」

 魔国の領地で大量に群生していたのでよく覚えている。

 夜になると虹みたいに赤、橙色、黄色、緑、水色、青色、紫色のどれかの色になるか、もしくは色が変わりながら光ったりするから、そう名付けられたと聞いている。

 薬草としても効果もあり、根や葉は傷薬に花は煎じて飲めば万病に効く薬になると聞いている。

 薬草よりも観賞用の花としての価値が高いので、殆どの人は薬草にはしない。

「へぇ、花には詳しいのですか?」

「いや、どちらかと言うと偶々ですね」

 微笑みながら和やかに会話する僕達。

 其処に聞き覚えがある声が何処からか聞こえて来た。

「ふ~ん。意外と良い子そうじゃない?」

「ウ~ちゃんとの相性も悪くなさそうね」

「問題は、リウイが一緒になっても問題ないかだと思うが」

「今の所、問題ないようじゃが」

 この声は姉様達だな。

 小声なのでラミティーナさんは聞こえていない様だが、僕の耳にはハッキリと聞こえている。

 何処に居るんだと思いながら花を見るフリしながら辺りを見回した。

 すると、僕達から少し離れた所にある東屋から身を潜めながらこちらを見ているのが分かった。

 全く、何をしているのやら。

 しかし、そうなると姉上も同じように何処かで見てるかもと思いキョロキョロした。

「どうかしましたか?」

「ああ、いえ。何も」

 周りを見ている僕を見て不審に思ったのかラミティーナさんが訊ねて来た。

 僕は何でもないと返した。

 おかしいな。何処にもいないぞ。絶対に何処か見ていると思ったのに。

 何処で見ているのやらと思っていると、ラミティーナさんが突然、ソワソワしだした。

 突然どうしたんだ?

「どうかしたのですか?」

「いえ、何処からか視線を感じまして」

 視線ねか。僕では無くラミティーナさんを見ているのか。

 多分、姉上だろう。さり気なく僕はラミティーナさんの周りを見た。

 すると、今度は庭全体を見渡す事が出来る東屋に姉上()が居るのが見えた。

 姉上の他にも、村松さん、ユエ、椎名さんも居た。

 その顔ぶれを見て、思わずギョッとした。

 ユエも居るので、ハンドサインを送る事にした。

 ど、う、し、て、そ、こ、に、い、る、のっと。

 ハンドサインを見たユエは直ぐに返信して来た。

 お、ま、え、の、あ、ね、が、こ、こ、ま、で、つ、れ、て、き、たっと。

 姉上め。余計な事を。

 うん? ユエがまた何か伝える為にハンドサインを送って来た。

 そ、の、お、ん、な、は、だ、れ、だ ? せ、つ、め、い、を、も、と、め、るっか。

 此処は隠しても仕方が無いので正直に言うか。

 ぼ、く、の、お、み、あ、い、あ、い、てっと。

 こんな所か。・・・・・・って、うおおおっ。

「待て。落ち着け椎名」

「止めないで張さん。あの女、リウイ君のお見合い相手だなんて、認めない認めない認めない認めない認めない認めない認めない認めない認めない認めない認めない認めない認めない認めない認めない認めない、ぜっっったいにみとめないんだからっ」

「ちょっと、落ち着いてよ。ユキナッチ」

 僕のハンドサインを見て、ユエが教えたのか椎名さんが何処から弓を出してラミティーナさんを射殺そうとしていたので、ユエと村松さんが抑え込んでいた。

 それを見て姉上が微笑んでいた。

 その微笑みを見て、これを狙っていたと分かった。

 この事については、後で言及するとして今は。

「ラミティーナさん。あちらに参りましょう」

「はい」

 椎名さん達をが見えない様にしながら、僕達は別の中庭へと移動をした。

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