第26話 意外とまとも?
「貴方がリウイ殿か?」
見覚えが無い女性は声を掛けて来た。
意外にハスキーな声であった。
まぁ、お見合いするという事なので女性である事は分かっているのだけどね。
そう思いながら、僕は姉上い目を向ける。
「姉上」
僕が声を掛けても見合い相手を睨む凝視している姉上。
珍しいな。僕が声を掛けたら、ほぼ必ず顔を向けるのに。
「姉上っ」
「・・・・・・何かしら、リウイ?」
少し語尾を強めに言うと、姉上は反応してくれた。
「こちらの女性が、その」
「ええ、こちらが貴方のお見合い相手ですよ。名前はラミティーナだそうです」
名前を言われたラミティーナは頭を下げた。
「初めまして」
「どうも。僕はリウイです」
頭を下げたので、僕も返礼を込めて頭を下げた。
とりあえず、席に座ろうと思いラミティーナさんが座っている対面の席に座る。
「リウイが来たので、わたしはこれで」
姉上がそう言って部屋から出て行った。
てっきり、終わるまで居ると思っていたが。まぁいいか。
「「・・・・・・・・・・・・」」
僕達は何も言わないまま無言でお互いを見ていた。
お互い一言も話さないまま時間だけ過ぎて行く。
何か話さないといけないと思うのだが、何を話そうか考えてしまい余計に話が出来なくなった。
悪循環だなと思いつつもどうにかしないと思っていると。
「ところで、ラミティーナ殿」
「は、はい。何でしょうか?」
「申し遅れたが、妾はロゼティータじゃ。其処に居るリウイの姉じゃ」
「そうでしたか。初めまして」
ラミティーナは頭を下げた。
「ふむ。二三質問しても良いかの?」
「はい。構いません」
「まずは、歳を聞いても良いかの?」
「今年で十六になります」
十六? 失礼だけど十八~九ぐらいに見えたのだけど。
しかし、同い年か。
そう思いながら、改めてラミティーナを見る。
・・・・・・・本当に同い年?
ティナに比べても出ている所が全く違うのだけど。
いや、この場合はティナが育っていないと考えるべきなのだろう。うん。きっとそうだ。
「趣味は?」
「そうですね。料理、香道、弓術、、剣術、裁縫、歌舞など出来ます」
意外と多趣味だな。
しかも、弓術と剣術以外は文化的だな。
この人。見た目に反して教養がある人の様だ。
「兄弟はおるのか?」
「わたしは妹二人と弟一人居ます」
「ふむ。成程。お主は長女と言う事か」
「はい。そうなります」
ふぅ、姉様が代わりに聞いてくれた事で色々な話を聞く事が出来た。
「それでは、お主は長女という事になるの。長女と言う事は下の面倒を見たりするのであろう。大変であろう」
「いえ、面倒が掛からない子達ですので、特に苦労などはしていません」
「いやいや、妾もリウイを含めて妹弟が沢山いるが大変であったぞ」
大変? それは面倒を見る事でかな? それとも姉扱いされていない事でかな?
「何か言ったか?」
姉様がギラリと睨んできたので、僕は首を横に振る。
「コホン。そろそろ、二人だけで話をしたいであろう。中庭で歩いてみたらどうじゃ」
「はぁ、分かりました」
「・・・・・・分かりました」
ちょっと強引ではと思いつつも、僕達は部屋を出て中庭へと向かった。




