第24話 なし崩し的に
この国に連れてきているようなので、急遽セクシャーナトさんの孫娘とお見合いをする事となった。
まぁ、折角連れて来てくれたのだから、会うぐらいは良いだろう。
そう思い会う事を承諾した。
「ふふ、じゃあ、明日。この部屋に連れて来るわね」
と言ってセクシャーナトさんが部屋から出て行った。
セクシャーナトさんが出て行くとお祖父さんが僕を見る。
「良いのか? こちらとしても断っても良かったのだぞ?」
「ちらっと聞いた限りだとかなりの好条件だったと思うんだ。それを断ったら、御祖父さんの家とセクシャーナトさんの家の仲が険悪になるよ」
「ふん。あやつの家と仲が悪くなったところで特に問題ない」
「わたしもそう思う」
母さんも同意とばかりに頷いた。
そんなに嫌いなの?
「だが、親父。あのクソ婆の事だ。あの手この手でリウイと孫娘を婚約させるぞ」
「確かにな。あやつならやりそうだ」
お祖父さんも苦々しい顔で母さんの言葉を肯定した。
「我が家の事で孫に迷惑かけるのは、正直気が引けるが」
お祖父さんは目を瞑り考え込んだ。
「僕は別に構わないのだけど」
「・・・・・・本当に良いのか?」
「うん」
「そうか。では、明日の事は」
「ちょっとお待ちくださいっ」
お祖父さんが言っている最中に姉上が口を挟んで来た。
「どうしたの? 姉上」
姉上を見ると、眉間に皺をよせていた。
「どうしたもこしたもありません。何故にわたし達の承諾も無しにリウイがお見合いする事になっているのですかっ」
「ええ、別に良いじゃん。こっちの家の事情なんだから」
「幾らリウイがラサツキ家の嫡流とは言え、リウイはわたしの可愛い弟で魔国の王族の一人でで先代魔王の息子なんですよ。この場合、こちらの家族にも一言言ってから見合いをするのが筋というものでしょうっ」
先代魔王の息子や魔国の王族の一員よりも、姉上の弟が先に言うのは姉上らしいと思うのは、僕だけだろうか?
「別に問題ないだろう。母親のわたしが許可すれば」
「ですが。ハバキ様っ」
「見合いするぐらい別に良いだろう。それに見合いしたからと言って、必ずしも婚約するという事にはならんぞ。わたしも親父に言われて、何度かしたがその度に破談になったものだ」
「破談にしたの間違いではないか?」
お祖父さんがボソリと言ったが、此処は聞こえないフリをしよう。
「わたしとしても不本意だが、あのクソ婆の事だ。今回、見合いを断っても、あの手この手で見合いをさせようとする筈だ。此処は仕方がないから、さっさと見合いをしてぶち壊してこい」
「それは酷いと思うのだけど」
向こうもそれなりに覚悟を決めてきているというのに、それを壊すなんて。
流石に心が痛むな。




