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第51話 まずは軍議だ。

 リュミエル城に着いた僕達は、休む間もなく僕達は軍議を行なった。

 軍議を行なう会議室に行くと、この城の城代とカドモスさん以外の部隊長と僕達以外クラスメート達は既に座っていた。マイちゃんは僕を見ると、小さく手を振る。

 エリザさんが来たのを見て、クラスメート皆以外、立ち上がり頭を深々と下げる。

 それを見ても、エリザさんは何も言わず、自分が座る上座の席に行く。

 座ってから「皆、ご苦労」と言う。

 そう言われて、立っていた人達は席に座る。カドモスさんはエリザさんの近くに座る。

「僕達も座ろうか」

「どこに座る?」

「クラスの皆と一緒で良いと思うわ」

「そうしようか」

 僕達がクラスの皆が座っている所に座ろうとしたら。

「子豚、こっち来なさい」

 エリザさんが僕を手招きする。

「えっ、でも」

「いいから、来なさい」

「は、はい」

 僕は言われるがまま、エリザさんの所に行く。

 行く際、背中に凄い強い視線を感じたけど、ここは無視する。

 僕がエリザさんの所まで来ると、エリザさんが自分の隣の席を叩く。

 ここに座れと言う事だろうか?

 僕がエリザさんを見ると、頷いたので僕はその席に座る。

「さて、皆座ったわね。これより、軍議を行なう」

「まずは、リュミエル城の城主の話から聞きましょう」

 カドモスさんがそう言うと、この城の城代の人が席を立つ。

 歳は三十代ぐらい見た目が凡庸な人だ。

「はい、まずは地図をご覧ください」

 会議室のテーブルの中央に置かれた地図に、皆目を向ける。

 この地図には城近辺の地形を細かく書かれていた。

「事前に出した偵察部隊の者が言うのは、敵は数十日後に城からかなり離れた所にある平原に着くと報告を受けています」

 地図の城から少し離れた所に、敵を模した駒が置かれた。

 距離で言うと、数十キロぐらいかな?

「敵の編成は分かったのか?」

「はい。獣人族の編成は人馬族の兵が二万です。残り一万は戦闘に向かない猫人族なので、こちらは兵糧を運ぶ補給部隊と思われます」

「実質、敵は人馬族ね」

「人馬族か。少々、やっかいですな」

「ああ、奴らの機動力は侮れない」

「それは奴らの下半身は馬だから仕方がない」

「駆けながら弓を射られたら、我が軍の被害は馬鹿にできないぞ」

「ここは奴らの武器の一つである機動力を活かせない、籠城戦を行うべきでは?」

「うむ、我が軍は魔法使いが多いので、城に守られながら戦った方が我らに分があるな」

「師団長、いかがでしょう」

 皆、エリザさんを見る。

 ここは師団長のエリザさんの意見を聞いて決めるようだ。

 僕はエリザさんを見ながら、何を言うのかちょっと興味が湧いた。

(師団長の仕事をしている時を見た事がないから、この場で何て言うかで師団長の力量が分かる筈)

 何て言うのだろうと思っていたら。

「はぁ、・・・・・・・・貴方達、馬鹿?」

 えっ? いきなり罵倒ですか?

 驚く僕を尻目に、エリザさんは言葉を続ける。

「我が軍は五万よ。籠城なんてしたら、こちらの兵糧が先に尽きるでしょう。貴方達はそんな事も分からないの? もう一度兵士からやり直したら?」

 強烈な毒だな。

 流石にそこまで言われたら、皆怒るだろうな。

「「「はっ、申し訳ございませんでした。師団長閣下!」」」

 あれ? 皆さん、きつい事を言われても平然としてる。

 いや、よく見ると皆恍惚な顔を浮かべているぞ。

 もしかして、皆さん。ソッチ系ですか? 小さい子の罵倒は御褒美とか言う人達ですか?

 この軍は大丈夫だろうか?

「子豚、頭を抱えてどうかしたの?」

「いえ、別になんでも、ありません。はい」

 エリザさんは首を傾げているのを見て、この人達の事が分かっていないようだ。

 あっでも、カドモスさんだけは違うようだ。

 だって、部隊長の顔を見て、頭を痛そうにしている。

「それに今回の戦には新兵器を大量に持ってきたから、それを実戦で試す為に籠城はしないわよ」

「新兵器ですか? 試験運用は終わっているのでしょうか?」

「それが終って、量産化されてその試作品を試すのよ」

「安全性は保障されているですか?」

「それも保障されたから、こうして実戦導入されたのよ」

「そうですか。それでその兵器はどのような運用をするのですか?」

「それはね」

 エリザさんが兵器に対して説明を行った。

「・・・・・・そのような兵器をいつの間に開発したのですか⁉」

「ついこの間よ」

「信じられん。侯爵様はどこからその様な物を作る知識を手に入れたのだ」

「それは、この子豚のおかげよ」

 エリザさんが僕を指差したので、皆、僕に目を向ける。

「この者がですか?」

「そうよ。子豚がアイディアを出したから、お父様がこの兵器を開発したのよ」

「す、凄いですな」

「流石は異世界から来られた者だ。素晴らしい知識をお持ちだ」

 いや、そんなに褒められる程の事では。

 そう思っていたら、エリザさんが手を叩く。

「敵は人馬族、その数二万、我が軍の半分に満たない戦力とはいえ、侮ればどんなしっぺ返しが喰らうか分からない。皆、戦が始まるまで準備は怠らないように」

「「「「承知しました‼」」」」

「では、解散」

 エリザさんがそう言うと、クラスメート達以外は席を立ち、エリザさんに一礼して部屋を出て行く。

 僕達はその動きに付いていけず、ポカ~ンとしていた。

「口を阿呆みたいに開けてどうかしたの? 子豚」

「いえ、その皆さんの動きに付いていけなくて」

「あの者達は、それが仕事だから早いのよ。わたくし達は用が出来るまで、部屋で待機しているわよ」

「達? 僕もですか?」

「暇つぶしの話し相手くらいにはなるでしょう。付き合いなさい」

「はぁ、分かりました」

「カドモス、そこに居る者達の事は任せたわよ」

「承知しました」

「行くわよ。子豚」

 僕はエリザさんに引っ張られ、部屋を出て行った。

 

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