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第19話 ようやく承諾を得た

 翌日。


「ああ・・・・・・本当に疲れた」

 姉上の買い物に付き合って色々な所に付き合った。

 事前に調べていたのでは?と思われるぐらいに多くの店を行き来した。

 ガラの悪い人に絡まれる事なく、姉上の気が済むまで買い物に付き合った。

 そう言えば、何か声を掛けられたので振り返ったのだが其処には誰も居なかった。

 あの時は不思議だったが、思い返してみると路地裏に腕が引っ込んだのが見えたな。

 無理矢理、引っ込まれたのか上下に手を振っていたな。

 ・・・・・・見間違いだと思う事にしよう。うん。

 今はそんな事よりも、今日はユエと椎名さんに公都と廃都に行く事を承諾させないとな。

 そう思い、部屋を出ようとしたが。

 ドアがノックされた。

「誰かな?」

『わたしだ。リウイ殿』

 この声はユエか。こんなに朝早くにどうしたのかな?

 そう思いながらドアを開けると、思わず目を擦った。

 何故なら、其処にはユエと一緒に椎名さんも居たからだ。

 蛇にマングース。龍と虎。水と炎。

 それらの単語が頭の中に浮かびだした。

 何が言いたいのかと言うと、お互いに相容れないもの同士が目の前に居るという事だ。

「き、今日は良い日だね?」

「何を言っている。今日は朝から曇りだぞ」

「あ、あそこの枝に鳩が停まっているね」

「リウイ君。あれは鴉だよ」

 いかん。あまりに想定外のこの状況に考えが回らず変な事を口走ってしまった。

 此処は平常心でいかなければ。ふ~、ふ~。

「良し。冷静になれた」 

 深呼吸した事で平常心になる事が出来た。

 二人は何をしているんだ?という目で見られているが、気にしない気にしない。

「それで、二人は何の用で来たのかな?」

 出来るだけ笑顔を浮かべながら訊ねた。

 多少、顔が引きつっているかも知れないが、これくらいは許容範囲だろう。

「直ぐ済むから、そのまま聞け」

「分かった」

「お前が竜人達を案内する件だが」

 その事について話をしようと思っていた所だ。

「条件付きでだったら、行っても良い事にしたわ」

「条件?」

 いったいどんな条件なんだ?

 どんあ条件が言われるか分からず、僕は生唾を飲み込んだ。

「わたし達もお前の案内に連れて行く事。それが条件だ」

「えっ⁉」

 それが条件?

「本当は他にあるとか?」

「無い」

「実はこれを機に、僕を誘拐して誰も来ない様な僻地に逃げ込むとか?」

「それもそれで非常に心揺さぶられるけど、そんな事はしないわ」

 何だって⁉ では、何が目的なんだ?

「椎名と話し合った結果、そうした方が良いという結論になったのでな」

「だから、リウイ君と一緒に行動する事にしたの。ユエさんと」

 何か言葉の裏に、何でこんな奴と一緒に行動しないといけないんだという気がヒシヒシと感じる。

 どうしてそうなったのかは聞かない方が利口だな。

「分かった。じゃあ、一緒に行こう」

 僕が手を差し出す。

「ああ、そうだな」

「うん」

 ユエと椎名さんはほぼ同時に手を伸ばして、僕の手を握ろうとした。

 お互いの手が当たると、火花を散らした。

 こりゃあ、行くのが大変な気がしてきたと思った。

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