第12話 それが条件なら仕方がない
村松さんに連れられて、僕達はある部屋まで来た。
「ごめんねぇ、誰にも話が聞かれたくなかったから」
「まぁ、別に良いけど」
半ば無理矢理この部屋まで連れて来たが、村松さんは別に無意味に此処まで連れて来る事はない。
何か話があるので連れて来たのだろう。
「で、何の話があって此処に連れて来たの?」
「隠す事じゃないから言うけど、たっちゃん達を連れて廃都に行くんでしょう」
「ああ、そうだよ」
「わたし達が承諾しなくても行くんでしょう」
「ま、まぁ、そのつもりだけど」
「ちょっと、友達甲斐がないんじゃないのかな?」
「うっ、それを言われると」
「という訳で、何か友達としてしてくれると嬉しいな~」
それはつまり行く事を許してあげるから、何かしてと暗に言っているんですけど。
「何をしろと?」
「そうだね。・・・・・・この国の服って有名だから。何着買いたいな~」
買い物に付き合えと。
「分かった。それで許してくれるのなら」
「やったっ」
村松さんは笑顔を浮かべた。
「リウイ様。この忙しい時にその様な事をしなくても」
リリムが行かなくて良いと言うと。
それを聞いた村松さんはニンマリと笑いながら、席を立ってリリムに近付く。
そして、耳元で何か話し出した。
あまりに小声なので、何を言っているのか聞こえない。
話を聞いていたリリムは聞いている内に顔を赤らめだした。
村松さんが口を離すと、リリムは咳払いをしだした。
「こほん。リウイ様。貴方様は昔、忙中に閉ありという言葉を教えてくれました」
「ああ、そうだね」
「その意味はどんなに忙しい時でも暇はあると教えてくれました」
暇があるね。
「その言葉を聞いて感銘を受けました。ですので、リウイ様は買い物に行くのは良いと思いますよ」
「良いの?」
「はい。ですが、流石に護衛は必要です」
「護衛ね。確かにな」
「其処は不肖、このリリムがリウイ様の護衛を致しますっ」
それが目的か。
何で、買い物に行くのを賛成したのが分かった。
「・・・・・・はぁ、別に良いよ」
「ありがとうございます!」
頭を下げるリリム。
とりあえず、誰かに一言言っておかないとな。
誰に言おうかな?
イザドラ姉上は却下だな。この話をしたら、自分も連れて行けと言い出すだろからな。
椎名さんとユエも同じだな。
他はロゼティータ姉上か。
う~ん。大丈夫か。
そう思い、僕は姉上に買い物に行くと話したら。
「妾も暇だからその買い物に付き合うのじゃ」
そう言いだした。
一応、村松さんに声を掛けたら。
「別に良いよ~。リウイ君のお姉さんと買い物をするのも悪くないしね~」
「ですね~」
リリムも賛成したので、僕達は買い物をする為に王宮を出た。




