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第8話 意外な助け船が来た

 コンコン。

 三人の説得している最中、ドアがノックされた。

 誰何する前に扉が開いた。

「ああ、此処に居ましたか。リウイ」

 部屋に入って来たのはイザドラ姉上だった。

「何で此処に⁈」

 この部屋で三人と話し合いする事は三人以外誰にも言ってなのに?

「ふふふ、わたしは貴方の姉ですよ。姉が弟が何処に居るのか分からない事など有る訳ないでしょう」

 説明になってないけど、姉上が言うと何か妙に説得力がある返事が返って来た。

 これが普段からの行いか。

「あの、何か腑に落ちない事を言われている気がするのですが?」

「気のせいだよ。姉上」

「そうですか」

 勘は良いけどチョロイから助かる。

「で、リウイ達は此処で何を話していたのですか?」

「ええっと、これは」

 前世の僕の事を知っている人達を集めて、竜人君達を公都と廃都に僕が連れて行く事を話しているとは流石に言えないな。

「渡来人達を公都と廃都にリウイ殿が連れて行くという事を話していたのです。イザドラ様」

「ああ、その件ですか」

 ユエの説明を聞いて小首をかしげる姉上。

「しかし、もう話はリウイが連れて行くと言う事で決まった筈ですが?」

「こほん。失礼ながら、それはそちらか決めた事であって、わたし達は介入していない。ですので、わたし達は連れて行く事に反対しているのです」

「成程。そういう事ですか」

 姉上は頷くと三人を見る。

「貴女達は反対しているという事ですね?」

 確認の為にか姉上が訊ねた。

 三人は返事の代わりに頷いた。

「分かりました。では、リウイ」

「はい」

「貴方は行きたい。それは変えるつもりはないのでしょう?」

「うん。変えるつもりは無い」

 行く事を既に竜人君達には伝えているからな。

「じゃあ、別にこの三人の意見など無視して行けば良いではないですか」

「「「「……………………」」」」

 も、盲点だった。

 考えてみたら、そういう手段もあったな。

「し、しかし、イザドラ様」

「黙りなさい。赤の他人である貴女達にリウイの事で文句を付ける縁も義理もないでしょう。家族であるわたしと姉さんが許可したのです。それなのに、貴女達が反対した所で行く事を止める必然性はないでしょう」

 おお、前世の僕を知らないから言える言葉だ。

 普段は駄目が幾つも付く姿しか見せない姉上が、今日は何か輝いている様に見える。

「折角、リウイと旅行できると思ったのに邪魔させるものですか……」

 小声で本音を言っているが、今回に関しては助かる。

「コホン。まだ文句があるのでしたら、リウイ。そんな者達とは縁を切りなさい。手切れ金でも渡せば、今回の件や今迄援助した事についてとやかく言わないでしょう」

 そんな無茶なと思うが、姉上からしたら三人はそういう存在という事なんだよな。

 うん? 何か強い視線を感じたので、その視線を辿るとユエが不機嫌そうな顔で睨んでいた。

 そして、幼馴染しか通じないハンドサインを送って来た。

 ええっと、お、ま、え、こ、れ、を、ね、ら、つ、た、の、か、? と。

 い、や、こ、こ、の、ば、し、よ、は、は、な、し、て、な、い、か、ら。

 それを見て、ユエは直ぐに返事した。

 こ、れ、は、か、し、に、し、て、や、る、あ、り、が、た、く、お、も、えっか。という事は。

「・・・・・・確かにイザドラ様の言う通りだな」

「ちゃじゃなかった。ディアネン‼」

「どういうつもり⁉」

「どうもこうも無い。リウイ殿の家族が行く事を賛成しているのだ。赤の他人である我らは本来は口を出す権利は無い。リウイ殿が行くと言うのであれば不本意であろうと行くのを認めるしかないだろう」

「それはそうだけど」

「セナ。これ以上、話しても平行線だ。此処はリウイ殿の好きにさせろ」

「むううう」

 村松さんはユエに宥められて渋々だが頷いた。

「分かった。じゃあ、わたしも着いて行っても良い。公都に寄るだったら、今回の件を団長に報告もしたいから」

 妥協案とばかりに村松さんは付いて行くと言う。

「それなら、別に良いけど」

 これで二人折れた。残るは椎名さんだけど。

「・・・・・・・わたしも付いて行っても良いのなら、行ってもいいよ。廃都には」

 ふぅ、これで三人を説得?する事に成功したと思う。多分。

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