第4話 さて、どうするべきか
リリムの案内で部屋に入ると、そのままベッドで大の字になった。
「ああ、色々な意味で疲れた・・・・・・」
主に精神的な疲労だ。
竜人君達の事も話さないといけないが、一つだけ問題があった。
どのタイミングでこの王国を出るかだ。
イザドラ姉上の事だから、何かしら理由を付けて出国させないだろう。
王国の領土、領海、領空の八割は僕達が占領している。
勝手に出て行けば即、捕まって王宮に逆戻りになるだろうな。
かと言って他の人達に任せようにも、あの反応じゃなぁ。
「まさか、村松さんも反対するとは思わなかった」
あれでドライな所があるんだなと改めて知った。
ユエも付き合う義理もないし、龍月さんが傷つくのは分かっているのに案内する意味があるのかと言う。椎名さんは余程嫌なのか「もうあいつの名前なんか聞きたくもない」と言う始末。
他に誰か適任者は・・・・・・マイちゃんはいいんじゃないか?
村松さんかユエが事情を書いた手紙をマイちゃんに渡して公都と廃都に案内する。
だが、何か公国の傭兵部隊の一番偉い人にそんな事をさせるのは流石に無理があるか。
だとしたら、この案も却下だな。
う~ん。何か良い考えはないものか。
「何か難しい顔をしていますが、どうかなさいましたか?」
「ああ、うん」
その後、続けて言おうとしたが、龍月さんの事を話さないといけないという事が頭に浮かんだ。
天城君の姪っ子さんだと話したら、リリムの事だから。
『ふふふ、如何にリウイ様め命令とは言え出来ない事があります。わたしとしては伯父が死んだ事とどうしてそんな目にあったのか事細やかに説明してあげたいと思いますが』
と笑顔で言いそうなんだよな。
リリムの事だから少し誇張して教えそうなんだよな。そんな伯父の死の真相を聞かされたら、精神ダメージはデカすぎだろう。
しかし、僕の中ではいい案が無い。何か良い考えはないものか。・・・・・・ああ、そうだ。
「リリム。リュウショを連れて来て」
「リュウショをですか? 分かりました」
僕の言葉を聞いて訝しみながら従うリリム。
僕の命令には概ね従うから相手するのは楽と言えば楽なんだよね。
程なくしてリリムはリュウショを連れて来た。
「お呼びに寄り参りました」
「ああ、リュウショ。よく来てくれた」
リュウショに椅子に座る様に促すと、リリムに顔を向ける。
「二人きりで話したいから、部屋の外に居てくれるかな」
「分かりました。御用があればお呼びを」
リリムは一礼して部屋から出て行った。
部屋を出るのを確認して、僕は口を開いた。
「実は困った事があって相談に乗って欲しいんだ」
「わたしで答えれる事であれば」
「其処は分かっているから、大丈夫。実はね」
リュウショに竜人君達の事と姉上がどうも国を出す気が無い事を話した。
「・・・・・・成程。話は分かりました」
「で、何か良い案はない?」
「リリアン様には夫と娘三人居る筈ですね」
「ああ、そうだよ」
「その御二人は副都に居るのが分かっているのですから、お迎えと言う名目で副都に向かうのです。その時にタツヒトと言う者達を副都に連れて行くのです。ついでに、リウイ様も店の方に顔出すと言って、そのまま公都と廃都に案内するのです」
「成程。そういう手があったか」
ふむ。悪くない手だ。その手で行くか。




