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第102話 あっ、迂闊な事をしてしまった

 今回の話でこの章の話は終わりです。

 新章は少し時間を置いてから投稿します。

 竜人君達の話を聞いて僕達は直ぐに返答せず、後日答えると言った。

 現在、ハノヴァンザ王国を侵攻している最中だし、何よりこれから行うリリアンさんの王位の継承の儀を行う。

 その儀式には参加しないといけない。一応、そうなるように進言した身なので。

 僕達がそう言うと、竜人君達はごねるかと思ったが。

「分かりました。返答は何時でも構いません」

 と言ってごねる事はなかった。

 ごねても状況は変わらないと判断したのか、それとも自分達の心証を悪くしたくないと思っているのかな?

 どちらにしても、賢明な判断だ。

 竜人君達が部屋から出て行くと、姉様が立ち上がる。

「話はこれで終わりか。リインよ。どう答えるのじゃ?」

「う~ん。出来るのなら連れて行った方が良いと思うけど」

「今は忙しいじゃろうしな。終わってから決めた方が良いと思うのじゃ」

「だよね~」

 個人的には連れて行きたいとは思う。しかし、リリアンさんの即位の儀式を放っておくのは問題だ。

「ふむ。その『廃都』に行くのは無理じゃろうが、公都であれば行けなくはないぞ」

「どんな方法で?」

「リリアンと話したのじゃがな。あの者には副都に娘が居るのじゃろう。その者を連れて行くついでに、あの者達を公都に連れて行けばいいじゃろう」

「・・・・・・ああ、成程っ」

 その手があったか。ついでに副都に居る皆に会って無事である事を教えるのも悪くないな。

「流石は姉様です」

「ほっほほ、妾もそれなりに頭は良いからのう」

 嬉しそうに笑う姉様。

 公都はその方法でいくべきか。問題は『廃都』の方だな。

 ヴァベリア王国の王都という事だから、公都を経由して行った方が良いのだろうな。

 ふ~む。死人が大量に居ると聞いているからな、護衛戦力もかなり必要だな。

 ダイゴクとリュウショの傭兵部隊だけで足りるかな?

 これはどうしたら良いか悩むな。

「まぁ、どうするかはリイン次第じゃな。好きに考えよ」

「ちょっ、姉さん。どうして、わたしの手を取るのですか?」

「リインは考えたいじゃろうから、じっくり考えさせるのじゃ」

「そんな~、りうい~」

 姉様はそう言って姉上を連れて部屋を出て行った。

 姉上が何か言っているが無視だ無視。

 お蔭で静かになったの思考に集中できるぞ。

 さて、公都に行く場合の手段を考えないとな。海路で時間を掛けて進むかべきか。それとも近くの港で降りて其処から陸路で行くべきか。

 どちらも安全なのかと聞かれると微妙としか言えないな。

 う~ん。いっその事、空路で行くか? この国の飛空艇を借りて行くのが一番安全だな。

 空を飛ぶ魔物は居るだろうけど、そこら辺は何とか対処できるだろう。空賊は居るかな?

 この世界に来て空賊という言葉を聞いた事が無いから分からないな。

「・・・・・・ねぇねぇ、リウイ君」

「なに? 村松さん」

「リウイ君は『廃都』がどんな所だったか知ってるの?」

「そりゃあ、前世では居た事がある所だし。あそこの王宮の図書室には何度も足を運んだからね。・・・・・・・って、うん?」

 今、僕は誰と話をしていたんだ?

 隣に居るユエを見ると、手で顔を覆っていた。

 近くに居る椎名さんを見ると、重い溜め息を吐て「ああ、とうとうバレちゃった」と呟いた。

 もしかし、もしかしなくても僕が話した人って。

「・・・・・・村松さん?」

「なぁに~?」

 しまった⁉ 前世の事はあまり話さない様にしていたのに、僕とした事が迂闊な事をしてしまった。

「ああ、村松さん。これは考え事をしていたので、別に適当に返事をしただけなので気にしないでください」

 此処は誤魔化すしかないと思ったが。

「さっき、わたしの事を『村松さん』って呼んだよね?」

「え、ええ、まぁ」

「わたし。君にミドルネームのMが村松のMって教えてないのだけど?」

 しまった。前世の習慣で呼んでしまった⁉

「・・・・・・ディアーネさんに聞きました?」

 それを聞いたユエは目で、わたしを巻き込むなと言うが無視する。

 幼馴染なんだからこれぐらいは良いだろう。

「じゃあ、『廃都』に居た事があると言ったのは?」

「それは。・・・・・・考え事をしている時に話しかけられたので適当に返事をしていました」

「ふぅん」

 思いっきり疑っている目で見る村松さん。

 なにか、なにか誤魔化す手段はないか。

「止めておけ。今のお前の状態はチェスで言うのならチェックメイト寸前、将棋で言うのなら王手が掛けられているという所だぞ」

 現状説明ありがとう。ユエ‼

 しかし、此処で認めたら、多分。

『どうして、会った時に転生したノブッチだって話してくれなかったの?』

 と言われてなじられそうだ。

 言う機会がなかったと言っても信じてもらえないだろうな。

「・・・・・・リウイ君」

「は、はい」

「正直に話した方が身の為だよ。認めないと言うのなら、ある手段を取ります」

「ある手段?」

 例え、どんな手段を使っても白を切り通してやる。

「真田ッチから聞いた、ノブッチの恥ずかしい話を皆にばらすよ」

「黙っていてすいませんでした‼」

 即座に頭を下げる僕。

 自分の恥ずかしい過去を話されるとか、どんな羞恥プレイだよ。

 しかも、止めてと言っても「どうして止めるの? こんなに面白い話だよ。もう死んだ人の話なんだから、本人に咎められるのなら分かるけど、リウイ君が止める理由はないでしょう」と言われたら、ぐぅの音も出ない。

 此処は素直に前世の記憶を持っている事を認めよう。

「じゃあ、一から十までちゃんと話してね♥」

「はい」

 僕は生まれてから今に至るまでの話を村松さんにした。 

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