第100話 話は分かったけど、どうしたものか
「どうも~。黒川信之です。西園寺のダチです」
そう言って軽く手を振りながら挨拶して来た。
赤毛のドレットヘアーに日に焼けた小麦色の肌。
端正な顔立ちで身長も結構あった。
顔立ちが黒川に似ているけど、息子かな?
まぁ、それは後に次に人の紹介を聞こう。
「初めまして。椎名ディアナです」
そう名乗ると、頭を下げた。
ふむ。その立ち振る舞いの問題無さ、何処かの名家の出と見た。
やはり、椎名さんの家と考えた方が良いのかな。顔立ちも椎名さんに似ているし。
「初めまして、龍月桜華と申します」
頭を下げる龍月さん。
この顔、誰かに似ているんだよな。誰だっけ?
ああ、こう首元まで出てこないな。
気になるのだけど言葉が出ないジレンマ。
「西園寺よ。その者達を紹介する理由はなんだ?」
ユエが気になったのか、珍しい事に単刀直入で訊ねた。
何時もなら、雑談を交えながら訊ねるのに。
「はい。実はこの国に召喚されて、この世界の話を聞いて確信したんですが、この世界は以前にわたしの父が召喚された世界だと分かりました」
まぁ、西園寺君から話は聞いているだろうしそれは不思議ではない。
名前を出して思ったけど、元気にしているかな? 西園寺君。
子供が出来る位だから元気にはしているか。
「で、黒川以外はこの世界に転移した者の血縁なんです」
「血縁?」
村松さんは首を傾げる。
その気持ちは分かる。椎名さんはややこしいな。ディアナさんだな。その人は苗字に椎名さんが付いている事から十中八九椎名さんの姪だろうな。
顔立ちも似ているからな。前に兄が居ると椎名さんの口から聞いた事がる。
そっちは分かるけど、もう一人の龍月さんは誰の血縁だ?
そんな苗字のクラスメートは居なかったぞ。
「ディアナは苗字からお分かりの通り、そこに居る椎名さんの姪です。もう一人の龍月はこの世界で死んだ者の姪になります」
姪? この世界で死んだクラスメートはそれなりに居るが、誰だ?
「龍月は、その。・・・・・・母方の旧姓は天城と言います。彼女は天城信成の姪になります」
竜人君の口から出た言葉を聞いて、僕とユエと村松さんは思わず立ち上がった。
「天城の?」
「ほへ~、まさか、天城ッチの姪っ子さんなんだ」
「・・・・・・」
僕はマジマジと龍月さんを見る。
言われて改めて見ると、確かに顔立ちが天城君と何処か似ていた。
「リウイ。どうかしたのか?」
隣に座っている姉様が不思議そうに僕を見る。
そうだよな。前世の記憶がある事を話していないのだから、僕が立ったら変だよな。
「何でもないよ」
そう言って苦笑いしながら席に座り直した。
「・・・・・・おほん。天城の姪っ子が異世界に召喚されたのは分かった。で、お前達は何が目的でこの場に来たのだ」
「それについては、わたし達はちょっと行きたい所がありまして」
「行きたい所?」
見聞を深めたいから、何処かの国に同行してくれとか?
「ターバクソン公国の公都とヴァベリア王国の都。今は『廃都』と呼ばれる所です」
何だって⁈




