表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
594/756

第99話 懐かしい名前を聞くな

 西園寺竜人君の事は気になるが此処で話すのは何なので、僕達は王宮に行く事になった。

 椎名さんが僕を抱き締めたまま乗って来た馬車に乗り込もうとしたら、ユエと姉上が止めた。

 それで椎名さんは渋々、僕を離してくれた。

 そして、馬車を先頭にして僕達は王宮へと向かった。

 王宮に入ると、兵が居ない屯所に軍団を配備して防壁の見張りの兵を置くなどの事を決めてから、僕達は会議室へと向かった。

 会議室に入ると、西園寺君の息子の竜人が居た。

「ようこそ。皆さま。お好きな席に座って下さい」

 と竜人君が言うので、僕達は思い思いの席に座る。

 僕の右隣はユエが座り、左隣は姉様がちゃっかり座っていた。

 二人が僕の左右に座るのを見て、姉上と椎名さんが羨ましそうな妬ましそうな顔をしたが、仕方が無く二人は僕の近くの席に座った。

「では、改めて自己紹介をわたしは西園寺竜人です。修秀大付属高校の一年生です」

 ほぅ、まさか前世の僕が通っていた高校と同じか。

 あの学校は何かあるのかな。龍脈が通っているのか、それとも僕達が転移した事で其処に穴でもあるのかな?

 西園寺君と言うと記憶の中の西園寺君と混合するので、竜人君と呼ぶ事にしよう。

 竜人君がこの世界に来た経緯とどうして王宮を占拠したのかを教えてくれた。

 簡単に言うと、王国の命令で南部に龍を討伐しに行ったら、その龍の強大さに手も足も出ないで逃げた。それによりスティードン一世は御立腹で、表向きは龍のとの戦闘で心身ともに疲弊した事で休ませているという名目で竜人君達を離宮に監禁したそうだ。

 監禁されてそれなりの日数が経ったある日。スティードン一世達が王都を出て近くの城塞に入ったという情報を掴んだそうだ。

 そして、話し合いが行われ、このまま離宮に居るぐらいなら王宮を占拠して元の世界に帰還する方法を探した方が良いという話になり、王宮を占拠した。

 流石に人殺しは出来なかったようで、王宮と王都を守備をしていた部隊は追い出したそうだ。

 それで王宮を占拠して魔法を使う者達で帰還できる方法を探していた。

「王宮を占拠した理由は分かりましたが、貴方達が夜な夜な王都で暮らしている者達に好き勝手な事をしていたというのはどういう事だ?」

 ユエが自分の商会にも被害に遭っているので訊ねて来た。

 返答によってはタダでは済まないと目が言っていた。

「お恥ずかしい限りですが、離宮に籠っていた事で鬱憤を溜まっていた者達が勝手に行動して、王都に暮らしている人達に迷惑を掛けたんです。それ以来、注意をしていたんですが、それでもやる者が多くて」

「止めさせる事が出来なかったと?」

「はい。被害については出来る限り補填しますので」

「こちらの世界の通貨に通じているのか?」

「それぐらいは何とか」

「良かろう。では、その補填については後日話し合うとしよう」

 ユエはそれで話す事は無いのか口を閉ざした。

「分かりました。では、これからの事について相談を」

 竜人君が言葉を続けようとしたら、会議室の扉が叩かれた。

 誰か来たようだな。

「誰だ?」

『俺なんだけど、入っても良いか?』

「ああ、お前か。ちょっと待て」

 竜人君は扉の傍まで行き声を聞いた。その声を聞いて誰なのか分かった様で、僕達に顔を向ける。

「すいません。友人が話したい事があるとの事で部屋の中に入れても良いですか?」

 そう訊ねられて、僕はこの場で一番の年長者である姉様を見る。

「別に良いじゃろう。皆の者もそれで良いな?」

 姉様がそう尋ねると、皆頷いた。

「だ、そうじゃ」

「では」

 竜人君が扉を開けると部屋に入って来たのは三人の男女だった。

 男一人に女二人という組み合わせだ。

「紹介します。男の方は黒川信之。女の方は右から椎名ディアナ、龍月(たつげつ)桜華(おうか)と申します」

 黒川? 椎名? 

 前世の友人と同じ苗字と椎名さんと同じ苗字なのは偶然か?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ