第96話 王都を包囲する
三日後。
スティードン一世が籠っている包囲軍と別れた王都攻略軍は南下して行った。
攻略軍の打ち分けはと言う事で御祖父さんとセクシャーナトさん率いる『八獄の郷』の軍と義勇兵として村松さん率いる『アヴァロン・オルドル』の一部隊に急遽母さんが指揮する事となった『義死鬼八束脛』
更にヘル姉さんの『死神騎士団』とフェル姉の『魔導弓騎兵団』とイザドラ姉上の『魔導甲殻兵団』が参加している。
ロゼ姉様とミリア姉ちゃんも参加しているが、今回は軍団を連れて来てないとの事だ。
正直に言って参加している軍団の一つあれば王都は陥落させる事が出来る気がする。
そう思いながら馬車に揺られていると。
「ふふふ・・・・・・」
イザドラ姉上は僕を膝に乗せてご満悦な表情を浮かべていた。
本当はこうして乗りたくないのだが、本人がどうしてもと言って駄々を捏ねるので仕方が無くこうしている。久しぶりにあったけど我が儘になってないか?と思って来た。
「リウイ。暑くないですか?」
「大丈夫」
「そうですか。車酔いは有りませんか?」
「ないよ」
「そうですか。じゃあ、おやつ食べますか?」
「食べる」
「はい、あ~ん」
口を開けると、何かが口内に入れられた。
舌で転がしてみると、甘い味がしたので飴の様だ。
「美味しいですか?」
「うん」
「そうですか。それは良かったですね~」
そう言ってイザドラ姉上はギューっと僕を抱き締めてくる。
少々、鬱陶しいと思うがこれで何か言うと凄い傷つくから面倒なんだよな。
「姉上」
「う~ん。なんです~」
「外が見たいんだけど」
「はいはい。分かりました」
そう言って僕を抱き締めて動こうとしたので、手で制した。
「一人で見れるから」
そう言って姉上の手の拘束を解いて窓に顔を向ける。
「そうですか・・・・・・」
しゅんとした声を出す姉上。
そんな姉上を放って、僕は窓から外を見る。
窓の外は色々な魔獣に騎乗した人達と徒歩で歩いている人達か魔獣に手綱を付けて馬車の馬代わりにしている人達が沢山いた。
このまま進軍したら何時頃に王都に着くかな?
「この進軍ペースではそうですね。約二日ほどで王都に着きますよ」
その言葉を聞いてギョッとして振り返った。
姉上は当然と言わんばかりに得意げな顔をしていた。
「ふふん。わたしは貴方の姉ですよ。鏡越しであろうと貴方の顔を見れば何を考えているか分かりますよ」
くっ。無駄に高い観察力だな。
その能力をもっと有効活用できないのかな?
そう思っていると、馬車が停まりだした。
「ふむ。どうやら、休憩に入ったようですね」
大軍だからな行軍ペースを保つために適度の休憩は必要だろう。
姉上の言葉に納得していると、扉が叩かれた。
「誰ですか?」
『リウイ殿。わたしだ』
この声はユエだ。
「っち。邪魔な蝙蝠ね」
はいはい。嫌味は聞き流してっと。僕は扉を開けた。
「どうかしたのですか? ディアーネ殿」
「うむ。実はな王都のわたしの商会からが使いの者が来てな」
「使いですか?」
「うむ。それで皆を集めて話し合いたいと思い、休憩を取ったのだ」
まだ王都を包囲すらしてないのに?
う~ん。王都で何があったのやら。




