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第80話 一名除いて姉を紹介する。ついでに母も

 とりあえず、アードラ兄貴が連れて来た女性は見張りつきのテントの中で休ませる事にした。

 兄さん達が帰って来るまでまだ時間があるので、休みたいと思った。

 顔に出ていたのか、ユミル兄さんが「あっちにあるテントは誰も使ってないから其処で休んだら、皆が帰って来たら起こすから」と言われたので、その言葉に甘える事にした。

 ヘル姉さんはまだ僕を抱き抱えていたが、流石に一緒に寝るとかは言わないだろうと思う。

 姉さんと一緒にテントに入り中を見回すと、本当に誰も使って無いのか?と思った。

 家具や天蓋付きのベッドはあるし、床は地面では無く絨毯が敷かれていた。

 ヘル姉さんは僕をベッドに下ろすと僕をそのまま寝かせた。

「ゆっくり休んでね」

 僕に布団をかけて頭をポンポンと叩いてテントから出て行った。

 昔みたいに一緒に眠ろうとか言うのかと思ったが違ったか。

 ちょっと残念と思いつつも、僕は目を瞑る。

 少しすると、睡魔がやって来たので僕は抗う事せず眠りについた。

 眠りにつく直前。テントの外から。

「ヘルミーネ。そんな所で立って何をしているんだ?」

「リウイがちゃんと眠れるように守っている」

 とか聞こえてきたが、騒がしくしなかったら良いだろう。

 そう思いながら眠りについた。


 そうして、休んでいると誰かに身体を揺らされた。

「・・・・・・ン。・・・・・・イン」

 久しぶりに訊く声だった。

 懐かしくて優しい声色。思わずそのまま聞いていたくなる。そんな声だ。

 少し強く強く揺らされた。

「リイン。これ、リイン」

 ゆさゆさと僕を揺らすロゼ姉様。

 これは起きないと駄目か。

「う~、・・・・・・おはよう」

「うむ。おはようじゃな。久しぶりに会っても元気そうでなによりじゃ。リインよ」

 まだ半分目を閉じた状態で僕は挨拶した。

 ロゼ姉様は機嫌よさそうに挨拶を交わした。

「ほれ。其処にある桶で顔を洗うのじゃ」

 ロゼ姉様に言われるがままに、僕は桶がある所に向かう。

 うっすらと湯気が立っていたが、手を入れると温いと思った。

 温い水を顔に掛けると、流石に目が覚めた。

 水で濡れている顔を拭こうと手を伸ばすと、布の感触があった。

「ほれ。タオルじゃ」

「ありがとう」

 タオルを手に取って顔を拭う。ふぅ、スッキリした。

「ん~、ああ、そう言えばどうしてロゼ姉様が此処に居るの?」

 空いているテントに眠っていたのに、ロゼ姉様が居る事が不思議だった。

「どうしてって、先程帰って来たらお主が此処に居るとユミルから聞いたのでな。起こしに来たのじゃ」

「ああ、もうそんな時間か」

 テントの中だから分からないが、どうやら外はもう夜の様だ。

「という事は、もう他の兄さん達も帰って来たの?」

「うむ。今頃は」

 ロゼ姉様と話していると、何処からか豪快な笑い声が聞こえて来た。

 この声はシャイタン兄さんの声だな。

「馬鹿騒ぎをしているようじゃ」

「成程。僕も行った方が良いよね」

「当り前じゃ。お主を奪還した祝いで騒いでいるのじゃからな」

 そう言われては顔を出さないと駄目だな。

 僕達はテントを出ると、賑やかな声が何処かしこで聞こえて来た。

 戦勝祝いで騒いでいるのだろう。

「こっちじゃ。早く来い」

 ロゼ姉様がそう言って歩き出した。僕はその後を追い掛けた。

 すると、一際デカいテントが目の前にあった。

 入り口には警備の兵士達が立っていた。

 そのテントからは兄さん達の声が聞こえて来たので、此処に居るのだろう。

 兵士達はロゼ姉様の顔も僕の顔も見て覚えている様で、僕達を見ても何も言わず通してくれた。

 僕達がテントに入ると、其処は五月蠅いといっても良い程の宴の場と化していた。

「ふんっ。どうよ?」

「何のまだまだっ」

 アードラ兄貴とアリオク兄さんが大きな杯で酒を並々に注いで飲み比べをしていた。

 周りの兄さん達はそれをやんやと囃し立てる。

 姉さん達は何処だろうと見回していると、姉さん達は一塊になって楽しく会話していた。

 その中に母さんも居た。

「うん? おお、リウイか」

 酒を飲んでいた母さんが僕が入って来たのを見て手招きしてきた。

 行きたくないけど行かないと駄目だよな。

 仕方がないと思い僕は母さんの下へと行く。

 僕が母さんの傍に行くと、近くに居た姉さん達が僕を見るなり笑顔を浮かべる。

「久しぶり、リウ」

「元気そうね。ウーちゃん」

 フェル姉もミリア姉ちゃんも僕を見て頭を撫でて来る。

 二人がしているのでヘル姉さんとロゼ姉様もしたくなったのか、頭を撫でて来た。

 四人に撫でられなている僕に母さんは訊ねる。

「お前、親父に会ったか?」

「うん」

「元気そうか?」

「うん。元気そうだったよ。あっ、叔母さん達と従姉にあったよ」

「そうか」

「あとセクシャーナトさんにも会ったよ」

「あのクソ婆に会ったのか⁉」

 母さんは目を細めた。

「何か聞いたか?」

「あ、う~ん。色々と」

 言葉に出して言ってもいいのか迷うくらいに色々と聞いた。

「・・・・・・誰にも言うなよ」

 顔を近づけて目を細める母さん。

 これはかなり恥ずかしがっているな。まぁ、気持ちは分かる。

「コホン。それよりも、お前と一緒に逃げて来た三人を連れて来い。どんなのか顔が見たいのだが」

 リリアンさん達の事を言っているんだろう。会わせるのは構わないけど、何処のテントに居るか知らないんだよな。

「あたし知ってる。一緒に迎えに行こう」

「えっ?」

「そうね。どんな子か見たいから、わたしも行くわ」

「なら、わたしも」

「妾も付いて行くぞ」

 何か姉さん達が付いて来る様になった。

「ふむ。ならば、わたしも行くか」

 何故か母さんも付いて来る事になった。

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