閑話 その喧嘩、買った‼
今回はアードラ視点です。
リウイが攫われたと聞いて、俺達は麾下の軍団率いてイザドラ姉貴の魔法でハノヴァンザ王国へ来た。
まぁ、あれだけ実験に付き合わせられたんだ。上手く起動してくれないと困るぜ。
で、派手に暴れまわっていたんだが、その途中で俺は海の方に強そうな気配を感じた。
それが気になって俺は麾下の軍団を動かした。
そして、海岸に着くと其処にはデカい海龍が居た。
海よりも蒼い鱗。口から生えている鱗と同じ色の髭。手足が無い代わりにヒレが付いていた。
こいつは俺の物にしたい。
そう思うと、俺は麾下の軍団を使って捕縛に掛かった。
多数の犠牲者は出たが、その海龍の捕縛に成功した。
それからは、俺とその龍との戦いだ。
時間は掛かったがその龍の背に乗る事が出来た。
副官がそろそろ戻ろうと言うが、俺はまだその龍の乗ってないので軍団の指揮権を副官に預けて俺はその龍の首元に付けた鞍に跨り外海へと飛び出した。
「ヒャッホー!」
その龍が凄い速さで海を進んで行く。
強い日差しと潮風すら俺の身体には気持ちいと感じた。
気が済むまで進ませていた。
「さて、気が済んだし。そろそろ戻るか」
俺は鞍に付いているホーンを操作して戻ろうとしたら。
「何だ。あれは?」
俺の視力ギリギリに見える所に何十艘の船が居た。
進路からどうやらハノヴァンザ王国に行くのが分かった。気になった俺はその船の所まで言った。
「へぇ、大きさから戦艦という感じだな」
戦艦クラスの帆船が風も海流にも乗らないで進んでいた。
櫂も出ていないので人力では無いようだ。
「其処のお前、何者だ? どうやって海に浮かんでいるんだ⁉」
身なりから兵士の格好をした奴が聞いてきたな。
「ちょっと船を見ているだけだ。それと、海の浮かんでいるのは、愛騎に背に乗っているだけだ」
そう言って俺がホーンを操ると、海龍が身体の一部である角を少しだけ海面から出した。
「な、何だ。あんなにデカい角は?」
「海蛇であんなにデカい角を持っている種は居るのか?」
兵士達が話していると、身なりが凄い豪華な奴が出て来た。
見た感じ、人間だと思った。
「其処のお前。お前が跨っているのは魔獣か?」
「そうだっ」
「そうか。良し、その魔獣を俺に献上しろ‼」
はぁ? 何を言っているんだこいつと思ったぜ。
「俺はエースパニイン王国の国王アインヌフ一世だ。人呼んで『狂王』とは俺の事だっ。今すぐにその魔獣を献上しろ‼ ハノヴァンザ王国の侵攻に役立つだろうしな」
「ああん⁉ 狂王だが狭量だがは知らんが。これは俺が手に入れた大事な相棒だぞ。誰がてめえなんかに渡すか。馬鹿‼」
「きっさま、王に対して無礼であろうがっ」
「知るかっ。欲しかったら自力で俺から奪ってみろや」
俺はそのなんとか一世に手招きをした。
「面白い。全艦、戦の前にその無礼者を討ち取れ‼ あ奴を討ち取った者には金貨五百枚やる」」
「「「おおおおおおおおおおっっっ⁉」」」」
その歓声を聞きながら俺は跨っている相棒に声を掛けた。
「へっ。面白え。相手になってやる。行くぞ。相棒っ」
俺がそう声を掛けると相棒が海中から姿を見せた。
「デカい‼」
「海よりも青い鱗に同色の髭。それに手足が無い蛇?」
「おい。これってもしかしてレヴィアタンじゃねえのか⁉」
「馬鹿な‼ レヴィアタンと言えば『海の王者』とも『海龍神王』とも言われている魔獣だぞ‼ そんな存在が自分の背に人を乗せるなんて・・・・・・」
兵士達は改めて相棒を見た。
『Guaaaaaaaaaaaaaaaaa‼』
相棒が咆哮を上げた。さて、喧嘩の始まりだぜ‼
「その後は、向かって来る奴らを斬って斬って斬って斬りまくりの大立ち回りよ。途中から『九天将』やら『十二戦騎』やらと戦ったな。あいつらは中々に強かったが、まぁ、俺が全部倒したけどな。まぁ、そいつらと戦った事で、そのなんとか一世は逃がしちまったが、船団は壊滅したぜ。で、最後に沈没する戦艦にこの女が艦長だっつたとかで乗っていてな。船を沈めるついでに何かの役に立つと思い此処まで連れて来たぜ」
「流石は兄貴だな。はっははは」
アリオクは俺の話を聞いて笑い出した。
「そうだろう。 がっははははは」
俺が笑うと何故かユミル達は何か話していた。
何を話しているが聞こえないが、どうせ、俺がやった事に驚いているのだろう。
アードラの話を聞いたユミル達は小声で話した。
(あの女性はどう思う?)
(身なりから貴族と思われる)
(装備に金が掛かっているから、男爵以上だね。下手したら侯爵以上かも知れないよ)
(ふむ。そのエースパニイン王国に身代金が取れるか?)
(まずは、その女性の身分が分からなければ身代金を払うかどうかも分からないのでは?)
(同感)
(気を失っているようだから、起きたら話を聞くという事にしようか)
(異議なし)
(こちらも)




