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第77話 合流成功

 王都の西門を出て少し進むと、リュウショが所属しているレインボー・ドラグーン傭兵団と合流した。

 どんな傭兵団なのだろうと思っていると、別に竜人族だけの部隊という訳でもは無く、ただ赤、橙、黄、緑、 青、 藍、紫の七色に色分けされている上に、団員一人一人に魔弾銃を装備して魔獣で騎乗している事からそう名乗るようになったそうだ。

 最も今、この場に居るレインボー・ドラグーン傭兵団はリュウショが率いる黄色(クサントス)隊だけだそうだ。残りの部隊はどうしたのかと言うと、三部隊は西部に向かっているそうだが、残りの三部隊は出稼ぎに外国に行っているそうだ。。

 勿論、西部に向かっている部隊には折を見てこちらに寝返るように話は付いているそうだ。

 合流すると、僕達は西へと進ませた。

 その夜。野営を取る為の準備をしていると、二コラさんとリリアンさんがリュウショに話しかけているのが見えた。どんな、話をするのか気になりこっそりと近づいた。

「リュウショさんだったわね。聞いても良いかしら」

「何を聞きたいのだ?」

「この団の名前の由来って、別に竜人族だけの部隊という訳ではないのでしょう」

「ああ、竜人族も居るには居るが全員という訳では無い。部隊の隊長も亜人族、獣人族、鬼人族、天人族と色々と居る」

「じゃあ、この団の名前の由来はなんなの?」

 二コラにそう訊かれたリュウショは遠い目をした。

「この団を結成する時に昔仕えた主からドラグーンという銃を装備した騎兵の事を聞いたので其処から取りました」

 そんな事を話した覚えがあるようなないようなと思っていると。

「主ね。リュウショと言えばこの大陸でも『雷電』の異名を持つ傭兵よね」

「その通りだ」

「そんな人に仕えた人ってどんな人かしら?」

 リリアンさんは気になったのか訊ねて来たが、リュウショは少し考えていた。

 これは言っても良いのかと考えているようだ。

 考えて目を動かしていると、僕が視界に入った様で僕を見た。

 目で話して良いのか?と訊ねて来た。

 僕は頷くと、リュウショは自慢の髭を撫でながら話し出した。

「昔仕えたのは渡来人で公国の初代公王だ」

「「公国の初代公王⁉」」

 思ったよりのビッグネームだったので驚く二人。

「この大陸で公国と名乗っているのは一国だけ。其処の初代公王って言えば」

「あの『魔王殺し』とか『黄金を生みだす者』とか『神君』って言われている人⁉」

 ぐっ。その異名の一つでも名乗った覚えはないんだけど。

「わたしは、国に居た時にイノータ公王が書いた本を読んで内政に興味を持ったのよね。それで内政が得意になったわ。わたしが憧れる偉人よ」

 ぐふっ。リリアンさんが憧れるとか照れる以前に気恥ずかしい。

 しかし、僕が書いた本か。そう言えば内政や政治に関する事とか兵法の事とか、自分なりの解釈を入れた物を書いた記憶がある。

 どうせ、誰も読まないだろうと思い自分の考えをぶち込んでいた‼

 ・・・・・・回収できないな。どうしよう。

 ・・・・・・、今のは聞かなかった事にしよう。うん。

 さぁて、野営の準備を続けようっと。



 それから数日が経った。

 西部戦線は後退しているのか、それとも軍は既に壊滅しているのか分からないが兵士に見つかる事は無かった。

 このまま進めば兄さん達と合流出来ると思うのだが、何処まで行けば良いのやら。

 そう思いながら地図を見る。

「う~ん。此処から先は拠点になる所はないな」

 地図を見た限り、何処にも拠点になる所は無かった。

 さて、侵攻すると思われる都市に行って来るのを待つか? それとも当たりをつけて行動するか?

 そう思いながら地図を見ていると、馬車が停まりだした。

 ゆっくりと進んでいたので停まってもひっくり返る事は無かったが、何事だろうか?

「どうかしたの?」

『はい。前方から盗賊と思われる一団がこちらに向かって来ています』

 盗賊か。やれやれ、国が攻め込まれているというのに火事場泥棒するとか。

 とは言え、此処で戦闘をすれば音で王国軍に気付かれる可能性があるな。さて、どうしたものかな。

『ひいいっ』

『だ、だれかしらねえが、たすけてくれっ』

『お、おれたち、ころされちまう』

 声から察するに盗賊達が武器を捨てて助けを求めているようだ。

 何があったのだろうか?

『待てやっ、こらああっ。だれがガキだ。てめえらあああ、許して欲しかったら、命と金と身ぐるみ置いていけ‼』

『ひいいい、き、きたあああっ⁉』

『おねがいします。どうか、どうかたすけてください!』

 盗賊達が命乞いしだした。

 しかし、先程の言葉は許さないと言う意味では?

 そう思いながらも、聞き覚えがある声なので僕は馬車を出る事にした。

「リウイさん。盗賊が来るから馬車の中に居た方が」

「ああ、大丈夫。その盗賊を追い駆けているのが、僕の身内だから」

「みうち?」

「うん。こんな紹介はしたくなかったけどね」

 溜め息を吐きながら僕は馬車から出て盗賊達の傍に行く。

 少しすると、強い風が吹いた。

 その風が吹くと同時に人が姿を見せた。

「ようやく追い詰めたぞ。って、リウイじゃねえか。久しぶりだなっ」

「元気そうだね。オル兄ちゃん」

 そこに居たのは故郷を離れてからしばらくぶりに会う兄の一人であるオルヴェンドであった。

 再会は嬉しいのだけど、盗賊を追い駆けている時に会いたくはなかったな。

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