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第73話 まずは自分が一番

 翌日。


 朝目覚めると、リリムが満面の笑顔で「おはようございます」と言われた時は驚いたというハプニングはあったが、それ以外は特に問題は無かった。

 とりあえず、寝間着から服に着替える。何時頃、リリアンさんの部屋に行こうかなと考えていると、リリアンさんの所のメイドが訪ねて来た。

「王妹殿下は昼食を共に取りたいとの事です。後、その席で昨日の話もすると」

「分かりました。その時間に訪ねると伝えて下さい」

 メイドが一礼して部屋から出て行った。

 さて、その際はリュウショを連れて行くべきか。

「リリム。どうしたら良い?」

「そうですね。お答えする前にリウイ様にお尋ねしたい事があります」

「うん? 何を聞きたいの?」

「この王宮に引きこもっている渡来人達はどうなさいますか?」

 あ~、あの人たちね。

 前にユエが言っていたけど、向こうの世界とこちらの世界は時間軸が違うとかどうとか言っていた。

 その言葉から、僕の知り合いがいる可能性は低いだろう。

 更に言えば僕達は成功するかどうか分からない脱出をするのだ。

 その為にする事は、少しでも成功率を上げる事だ。つまりは。

「見捨てる」

「それが賢明です」

 リリムは僕の意見に不満は無いようだ。

 今は自分の身が大事だ。

 名前も顔も知らない人達を助ける程、僕はお人好しでは無い。

 悪く思わないで欲しいね。転生した身ではあるけど、第二の人生を楽しみたいからね。

 自己中と人は言うかもしれないが。命大事にしないとね。

「正直に言って安堵しました。もし、リウイ様が助けるとおしゃられたら、何とか考えを改めてもらおうと思っていました」

 流石にね。そこまでお人好しでは無い。

「って、今思ったけど、リリムの中では僕はそんなお人好しに見えていたの?」

 ふく気になり訊ねるとギョッとした顔をするリリム。

「違うのですか? リウイ様にお仕えしていた『十傑衆』の皆にリウイ様はお人好しだろうかと訊ねたら、全員お人好しと答えますよ」

 ガーン‼

 皆にそう見られていたの⁉転生して初めて知ったよ。

「・・・・・・よくみんな、そんなぼくにつかえたね?」

 衝撃が大きくて言葉が覚束ないな。

 と言うか、本当にそんな僕に皆良く仕えたな⁉

「ふふ、皆なんだかんだ言いながらリウイ様の事を慕っていましたよ」

「そうなの?」

「はい」

 リリムが断言するのを聞いてそんなものかと納得した。

 死んでいる人達も居るので聞こうにも聞く事は出来ないからな。

 

 そして、昼食の時間。

 言われた時間に僕は一人で行く事にした。

 リリムも「それで良いと思います」と言うので問題はないだろう。

 部屋に入ると、部屋にはリリアンさんと二コラさんとジェシカが居た。

「遅れましたか?」

「大丈夫よ。それにね、待っている間にね?」

「お、お母様」

 リリアンさんがニヤニヤしながら二コラさんを見る。

 すると、二コラさんは顔を赤らめる。

 何を話していたのか気になるが、聞いても教えてくれなそうな気がするのでとりあえず空いている席に座る事にした。

「さて、リウイ君が来たし、さっさと返事をして昼食を食べて作戦を練るわよ」

 何だ。昼食を一緒に取るという口実で僕に部屋に来るように言ったのかと思ったが、本当に昼食を食べるのか。部屋で軽く食事をしてきたのだけどな。

「で、返事だけどその話に乗せてもらうわ」

「ありがとうございます」

 僕が頭を下げる。これで逃げてもある程度は大丈夫だろう。

 リリアンさんはこの国の出身だから土地勘はあるだろう。最悪、散り散りに逃げても何とかなるかも知れない。

「さて、話は決まったから、作戦を考える前に食事にしましょう」

「・・・・・・分かりました」

 残しては失礼になるので出された物は食べないといけないのだけど、それなりに食べて来たので出された物を食べれるかなと思った。

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