表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
562/756

第71話 別に話さなくても良いのだけど

 コンコンっとドアがノックされた。

 誰か来たようだ。

 リリムが居ると分かったら問題だな。隠れてもらおうかと思っていると。

「どなたですか?」

 リリムがノックした人に声を掛けた。

『雷電が来た』

 この声はリュウショか。

 リリムはドアを開ける。入る前にリュウショは周りを見て、誰も居ない事を確認すると部屋に入って来た。

「誰にも見られなかった?」

「問題ない」

 二人が話をしている所を見ると、事前に接触していたようだな。

 そして、リュウショは僕の傍まで来て跪いた。

「十傑衆が一人『雷電』のリュウショ。御身の前に」

 頭を下げるリュウショ。

 この反応を見た所、これは言ったな。

 僕はリリムを見ると、リリムは凄いドヤ顔をしている。

 別に言わなくても良いと思うのだけどな。

「まさか、再びお会いできるとは思いませんでした」

「其処は同感だね。しかし、リリムが言ったとは言え良く僕の事を信じたね」

「リリムが言うのですから嘘はないと思います」

 それはリリムがそれだけ信頼されているという事なのだろうか? それとも、リリムが僕の事をそれだけ狂信しているという事なのだろうか?

 ・・・・・・まぁ、どっちでも良いか。

「ところで、今日は何の用で来たのかな?」

「はっ。お伝えしたい事がありまして参りました」

「ふむ。まぁ、それよりもそのまま跪いていると話しづらいだろう。椅子に座って良いよ」

 僕が手で空いている椅子に座るように促すと、リュウショは「では、失礼して」と言って立ち上がり椅子に座った。

「何か飲む?」

「はっ。では、茶以外の飲み物であれば」

 茶以外か。

 そう言えば、ある時を境にしてリッシュモンド以外の『十傑衆』の皆が茶を飲むのを嫌がるようになったな。リッシュモンドは死人なので、飲食は口にしない。

 とは言え、別に食べれないという訳ではない様で僕の喫茶に付き合って茶を飲む事がある。

「茶以外の飲み物ってある?」

「水しかありません」

「では、それで」

 リリムがコップに水を注ぎ、リュウショの前に置いた。

 流石に氷は入ってないが、リュウショは文句なくコップに口付ける。

「・・・・・・今日参ったのは、リウイ様に良い話を聞きましたのでお話しに参りました」

「さっきもそう言っていたけど、どんな話なの?」

 僕がそう尋ねるとリュウショは顔を近づけた。

「王国上層部はどうやら王都を出て近くの城塞に入るようです」

「城塞にか」

 籠城するつもりか? 何処かの国に援軍でも要請したのかな。まぁ、それは今はどうでも良いな。

「成程。それは良い情報だ」

「はい」

「良し。この事をリリアンさんに話に行くか。リュウショは付いて来て」

「承知しました」

「リリムは此処に居る様に」

「・・・・・・分かりました」

 あからさまに不満げな顔をするが今の状況を考えて自分が傍に居たら問題だと理解したのか、不承不承ながら頷いた。

 リリムに見送られて僕達は部屋を出た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ