表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
558/756

閑話 来たのは良いけど

 今回はオルヴェンド視点です

「へぇ、此処が大陸にある国なんだな」

 魔法から出て来た俺は愛用の片鎌槍を肩に乗せながら周りを見ていた。

 魔国に居る俺は今、大陸の西方の果てと言っても良いハノヴァンザ王国に居る。

 何でこんな所に居るのかと言うと、リウイが関係している。

 イザドラ姉貴がリウイに会えないあまりに暫く引きこもっていると、何か新しい魔法を開発したと言って、俺とアードラ兄貴とシャイタン兄貴と言った身体が頑丈な奴らを引っ張って来て人体実験もとい魔法の効果を試しやがった。

 もし、死んだらどうするんだと言うと、ちゃんと問題ないぐらいに研究したから大丈夫とか言いやがった。

『これもリウイに会う為です。貴方達もリウイには会いたいでしょう?』

 そう言われると、強く言えなかった。

 腹違いだが俺の弟だ。兄貴と姉貴しか居なかった俺にとって初めて出来た弟だ。可愛いと言える。

 ミリアリアは姉と言っているし、それに一度どっちが姉か兄貴に相応しいかで勝負した事があった。勝った方を姉又は兄と認めると言う条件で、結果、俺が負けたのでミリアリアが姉と言っている。

 他の姉兄達からしたらどうでも良いだろうが、俺からしたら正直に言ってショックだった。

 そんな時に弟が出来たと聞いて嬉しかった。

 初めて会った時から兄ちゃんと言って慕ってくれるので、こう心にグッときた。

 本当は一緒に遊びたかったが、姉貴達の誰かが構っていたので入り込む隙間が無かった。

 驚いたのはイザドラ姉貴がリウイを凄く可愛がっている事だ。

 兄弟愛が無いと訳ではないのだが、俺が小さい時はリウイみたいに構われる事はなかった。

 兄貴達も同様らしい。何でリウイをあんなに可愛がるのか気になるが誰怖くても聞けなかった。

 聞いた瞬間、焼き殺されるかもしれないと思ったからだ。兄貴達も同じだろうな。

 俺達の犠牲のお蔭?かどうか分からないが、イザドラ姉貴は『転移の扉』と名付けた新しい魔法を引っ提げて他の姉貴達と一緒にリウイが居る大陸に向かった。

 当分は帰って来ないだろうなと思っていた所に、突然イザドラ姉貴とロゼ姉貴が帰って来た。

 そして、帰って来るなり俺達を集めた。

 集めるなり、リウイが攫われたので手を貸せと言われた。

 それを聞いた俺と殆どの兄貴達快く承諾した。

 俺とアードラ兄貴とカマプウア兄貴は可愛い弟が攫われたから助けるという義侠心から返事した。

 アードラ兄貴とカマプウア兄貴は純粋に仲が良かったから返事したのだろう。

 驚いたのはフレズヴェルグの兄貴とナーガラジャ兄貴が承諾したのは驚いた。

 二人共、何を考えているか分からない所があるので、どうしてそんな事を言うのか不思議だった。

 他の兄貴達が承諾した理由は分かる。

 だって皆『久しぶりに暴れられるぜ』とか『俺の筋肉が鳴り響ているぞっ』とか『くっくく、新しい魔法を試す良い機会だ』とか『はっはは、俺の魔剣が敵の血を啜りたいと叫んでいるわ!』と自分の欲望忠実であった。

 うん。流石は俺の兄貴達だ。

 とは言え、全員が承諾した訳では無い。穏健派のユミル兄貴と慎重派のデモゴルゴン兄貴とペイモン兄貴は難しい顔をしていた。

 流石に国を相手に戦うのはリスクがあるかと思ったが。

 兄貴達は『ソアヴィゴ兄上の許可を得ないで侵攻すれば流石に外交とか越権とか色々な問題がある」と

言い出した。

 そう言われると、確かになと頷いた。

 勝手に動くとソアヴィゴ兄貴の顔に泥を塗っちまうな。後でネチネチと嫌味を言われるのもな。

 あれで結構、器が小さいからな。リウイは良くソアヴィゴ兄貴と仲良く出来たな。

 ユミル兄貴達の意見を聞いたイザドラ姉貴は。

『最もね。ちょっと待っていなさい』

 と言って席を立った。

 何をするのだろうと思いながら、俺達は待っていると。

 イザドラ姉貴が戻って来た。 

 手には何かの紙を持っていた。

『今回の件は好きなだけ軍を動かしても良いという詔勅を貰ったわ』

 と言い出したので、俺達はその紙を見た。

 其処にはソアヴィゴ兄貴の名前で『軍を好きなだけ動かす事を許可する。我が弟を誘拐した無礼者を誅罰を与えよ』と書かれていた。

 その詔勅を見て、ユミル兄貴達も腰を上げた。

 そして、俺達はロゼ姉貴が『転移の扉』の魔法でハノヴァンザ王国まで来た。

 ロゼ姉貴がリウイの馴染みの商人でディアーネとかいう女の伝手でハノヴァンザ王国まで運ばれて、其処から『転移の扉』を発動させて、俺達は今ハノヴァンザ王国に居る。

 扉を出た瞬間、戦闘が始まるという事は無く少し東へと進むと、デカい駐屯地が目に入った。

「オシャー‼ 祭りの始まりだっ」

「あっ、アードラの奴が先走りやがったっ」

「遅れるなっ。我らも続くぞっ」

 兄貴達とその麾下の軍団が攻撃を開始した。

 それらの軍団よりも何時の間にか先駆ける存在が居た。

「ふん。全く、愚息は幾つになってもわたしの手を煩わせるなっ。だらしがない。会った時は少し鍛えねばいけないな」

 何処で聞いたのかハバキのお袋さんが愛用の槍を回転させながら、敵軍と戦っていた。

 槍を振るう度に敵兵が数十人束になって真っ二つにされていた。

 笑顔を浮かべながら敵を殺す姿を見て、敵は腰が引けているし味方も怖がっている。

 というか、俺も怖い。

 あんなお袋からよくリウイみたいなボケーっとしたのが生まれたな?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ