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第68話 どんな作戦か聞くか

「それでどんな作戦を考えているの?」

 僕の予想ではこの国の四方の一箇所から持っている戦力を一点集中して王都まで侵攻するのだろうと予想していた。

 逐次投入という事はしないだろうからな。国相手にそんな事をしたら防御線を固くさせてしまうだけだ。

 さて、そんな事を思いながらリリムの話すのを待った。

「はっ。僭越ですが。不肖リリムが御身に作戦をご紹介いたします」

 椅子に座る僕の前で跪きながら答えるリリム。

 何かそういう事されると、僕が王様になった気分だけど無視しよう。

「わたしが御身の御側に来たそれほど変わらない時刻にあの蛇モドキ女がこの国の北方にある都市『ハインヴァネス』を攻撃しその都市に駐屯する軍団ごと都市を消滅させます」

「はい?」

 蛇モドキ女というのは多分椎名さんの事だろう。陰でそう言っているのを聞いた事がある。

 向こうもリリムの事を半端女と呼んでいた。まぁ、それは今はどうでも良い。今は都市の方だ。

 トシヲショウメツ? ホワイ? 何故に消滅⁉

 普通に軍団を壊滅させるだけで良いのでは?

「リウイ様の事ですから無用な被害が出ている事が気がかりなのでしょう。ですが、ご安心を。その都市には駐屯している軍団に所属している軍人しかおりません。補給面などは近くの商業都市に頼っております」

「いや、そういう事じゃなくてどうして都市を軍団ごと消滅させたのかな?」

「はっ。それにつきましては陽動の為に必要な事だと判断しまして」

「陽動? 椎名さんが攻撃した後に今回の作戦に参加する人達の拠点とか使わないで」

「流石はリウイ様。あの蝙蝠女と同じ着眼点をお持ちですね」

 ああ、この言い方。多分、ユエと一戦交えたな。はぁ、この二人。千年経っても仲が悪いんだな。

 というか、リリムと仲が良かった人って村松さんしか居ないな。

 西園寺君を見た時は「腹黒い目だ。我が君に近づいてたら殺す」と言うし、天城君に至っては「話す価値すらない」と本人を目の前にして断言した。それ以降は目も合わさないわ口も聞かないわ。返事もしないわと大変だった。

 と、昔を思い出すのは此処までにして。

「ユエがそう言うのならそうすれば良いと思うのだけど」

 そうした方が後々楽になるだろう。寧ろ陽動という事をすること自体ユエらしくないな。

 ユエなら情報の操作や遮断とかして、後々でスムーズに制圧する方法を選ぶ。

 陽動と言う事はつまり何処かに本命があるという事だ。その考えはどちらかと言えば、これはイザドラ姉上の考えだ。あっ。

「そういう事か・・・・・・」

 それで陽動とかしたのか。イザドラ姉上め。

「何かありましたか?」

「いや、どんな作戦をするのか分かったから」

「素晴らしき賢察です。流石はリウイ様」

 姉上の作戦はこうだろう。椎名さんを北で暴れさせながら王都に南下させて、王国の目を引き付けて軍を向かわせる。

 その間に他の方、西は無いから東と南だな。船で強襲を掛けて、そのまま王都に向かう。

 そういう作戦なのだろう。

「南と東に戦力を集中し過ぎだな。御祖父さんや姉さん達も参加しているだけで十分だろうに」

 しかし、そうなったら西側に逃げられる可能性もあるな。ここら辺は如何するのだろう?

「西側の対策は?」

「そちらはロゼティータ様が魔法で魔国本土と繋いでリウイ様の兄君と御母上が攻め上がるそうです」

「え、ええっ⁉」

 そんな魔法を何時の間に開発したの⁉

 はっ、イザドラ姉上の事だから、何時でも僕に会える様にとか思って開発したのかも知れないっ。

 あの姉なら有り得る。というか、あの姉しかそんな凄い魔法を開発できない。

 恐るべし。伊達に魔王の娘では無いな。

 僕の前では相手をしてもらえないだけでいじけるわ。話しかけないだけで拗ねるわ。抱き締めてくるのを逃げると一日中泣いて煩いわ。適当な返事をすると怒りだすわという面倒な人にしか思えないのにっ。

「作戦はこうです。北側はあの蛇モドキ女が攻撃しつつ南下して王国の目を向けさせて、その間に西側から『八獄の郷』のラサツキ家とカミノサラ家の連合軍と『義死鬼八束脛』の全部隊と独立愚連遊撃騎士団『アヴァロン・オルドル』の一部隊が攻め上がります。船はあの蝙蝠女が全額負担してくれました」

 ユエがね。ああ、ユエならそれぐらいはするか。

「南からはイザドラ様が1人で攻め上がるそうです。あの方、龍に成れるという事で任せましたが宜しかったでしょうか?」

「ああ、うん。大丈夫だと思う」

 その気になったら国を滅ぼせる人だからな。寧ろ、陽動なんか要らないだろうと思う。

「また、西側からは蝙蝠女の手引きで運ばれたロゼティータ様、ヘルミーネ様、フェル様。ミリアリア様と魔法で呼ばれた兄上様達と母上様が攻め上がるそうです」

 これは何と言うか、うん。あれだな。

 どう見ても詰んだな。

 仮に渡来人達をどの方面に送り出しても鎧袖一触だ。話にならないだろうと断言出来た。

 ああ、傭兵で思い出した。

「今、この国にリュウショが居るんだ。リリムの口から寝返る様にしてくれない」

「リュウショがですか? ふむ。分かりました。やってみますね」

 流石に前世の部下を見殺しにするのは気分的に嫌なので助かった。

 うん。後は渡来人達は何処に居るかリリムに探してもらうか。

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