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閑話 亡国の始まり

 今回は第三者視点です

 ハノヴァンザ王国の北部の海岸部にある城塞都市『ハインヴァネス』

 其処にある見張り台にに兵士達が居た。

「西。異常なし」

「東。異常なし」

「南。異常なし」

 見張り台の四方を望遠鏡で見ている。

「今日も異常なしだな」

「ああ、そうだろうな。前みたいに内乱は起こらないだろうぜ」

「だと良いがな。嫌だぜ。また同じ国の同胞に槍を向けるのは」

「でもよ。そうしないと、故郷の家族も守れないんだからよ。諦めるしかねえだろう」

 彼らは五年前に怒った内乱の事で話していた。

 その内乱はこの都市の近くに領地を持つ貴族が謀反の疑いを掛けられた。

 それが事実だったのか、それとも疑いを掛けられた事で自棄になったのかその貴族は軍を上げた。

 問題だったのはその貴族が名門で人望あった事だ。

 その貴族の家に連なる家全てが内乱に加わるだけではなく、領地の民も内乱に加わった。

 急ごしらえの軍なので脆いと思われたが、攻め寄せる正規軍を撃退し一時は王都まで攻め込んで来た。

 あまりの強さにスティードン一世も王都を脱出しようとしたが、その時に現在宮廷魔術師団団長で現在は宰相も兼任しているカンタベルがスティードン一世にこう言った。

「このわたしめを厚く遇すれば、この難局を打開してご覧にいれましょう」

 と言い出した。スティードン一世はその言葉に従い給金を四倍にし宰相に任じた。

 カンタベルはその厚遇にに答えレインボー・ドラグーン傭兵団などの強力な傭兵部隊を雇った。

 何故、傭兵部隊を雇ったのかと言うと正規軍が負けたのは同胞を槍を向けるという事で士気の低下が原因とカンタベルは判断した。

 その判断は正しく、レインボー・ドラグーン傭兵団なのど強力な傭兵部隊の前に反乱軍は一戦で敗北した。その戦いで軍を率いていた貴族と参謀達は戦死した。

 反乱軍は壊滅した功績でカンタベルは多くの領地を貰った。

 その一つがこの『ハインヴァネス』だ。

「はぁ、五年前だっていうのにまだ記憶に残っているぜ」

「俺もだよ」

「敵国の兵士を倒しても何とも思わない訳ではないけどよ。同じ国の奴らだからな」

 そう話していると北側の監視をしている同僚が何も言わない事に気付いた。

「おい。さっきから何も言わないが何かあったのか?」

 兵士の一人がそう尋ねると北側を監視している兵士は望遠鏡から目を離し別な所を見てからまた望遠鏡で最初見た方向を見る。

「おいっ」

 兵士が同僚の肩に手を置き揺らした。

「・・・・・・大変だっ」

 その同僚はそう言うなり血相を変えて振り返り、見張り台に付いている鐘を鳴らした。

 見張り台の鐘は非常事態発生を意味する鐘だ。

「どうしたっ⁉」

「あ、あれを見ろっ」

 北側を監視していた同僚がそう言うので兵士達はその方向に目を向ける。

 良く見えないので何人かは望遠鏡を取りそれで覗いた。

 すると、望遠鏡に空を駆けている蛇が居た。

「あれは翼がある蛇の魔物か?」

「それにしてもデカいな」

 最初は呑気にそう言っていた。

 この都市には王国軍の中でも精鋭と言われる第三軍団が配備されていた。

 なので、デカいだけの蛇の魔物などに負けるはずがないと頭から考えていた。

 だが、徐々にその蛇の姿をした魔物が近づいて来るのを見て、兵士達は目を疑った。

「おい」

「ああ、何か七色の輝く鱗を持っているな」

「というか、何か角が生えてないか?」

「まるで鹿みたいだな。それにあの顔はどちらかと言うと蜥蜴みたいだな」

「「「「・・・・・・もしかして竜?」」」」

「あんなに大きい竜なんて見た事無いぞっ」

「俺もだ!」

「とりあえず、誰か偉い奴に竜が来たって報告に」

 兵士の一人がそう話している間に見張り台に魔法が飛んで来て、見張り台は爆発した。

 その爆発で見張り台に居た兵士達は死亡した。

 彼らは死ぬまで分からなかっただろう。今、自分達が居る都市を襲うのが竜ではなく龍だという事を。

『グウウウゥゥゥ、どうして、リウイ君の下に行くのがわたしじゃなくてあの女なのよっ⁉』

 この世界の人間には分からない言葉で叫ぶ龍。

 都市に居る者達は言葉が分からないというよりも龍の咆哮で恐慌状態であった。

「落ち着け。竜如きで狼狽えるな」

「対竜滅殺陣。一の型にして殲滅しろ」

「「「「オオオオオオオオオオォォォォ‼」」」

 都市に駐屯する軍団長の号令の下団員達は陣形を敷き龍に攻撃を開始した。

『邪魔をするなっ』

 龍も咆哮しながら反撃をした。

 その後、龍はその城塞都市を僅か一時間で軍団ごと消滅させた。

 都市を消滅させた龍はそのまま王都へと南下して行った。

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